×

どん底ドルト緊急診断 香川復帰も最下位 名門失速に3つのワケ

[ 2014年12月2日 08:20 ]

フランクフルトに敗れ、ぼう然とする香川らドルトムントの選手たち(AP)

ブンデスリーガ第13節 ドルトムント0―2フランクフルト

(11月30日)
 日本代表MF香川真司(25)の所属するドルトムントが最下位に転落した。30日のフランクフルト戦に0―2で敗れ、07年8月18日以来7年3カ月ぶりに順位表の一番下へ順位を落とした。今季好調だった欧州CLでも11月26日のアーセナル戦で初黒星を喫し、状況は深刻。若き名将ユルゲン・クロップ監督(47)が率い、香川らを擁して10~11、11~12年にリーグ2連覇したチームはなぜ勝てないのか――。

 敵地に駆けつけたサポーターから非難の口笛が浴びせられた。ドルトムントは前半5分に相手クリアで裏を取られ失点。攻撃陣は何度も決定機を逃し、後半33分にはDFギンターの頭でのバックパスがGKバイデンフェラーの横を抜ける珍プレーから2点目を失った。最下位は07~08年シーズン第2節以来で、13試合を終えて勝ち点11の不振は16位で入れ替え戦に回った85~86年以来。クロップ監督は「相手GKのセーブが素晴らしかった。運が悪かった」と振り返ったが、今季低迷の原因ははっきりしている。

 ≪準備不足(1)新戦力の不振≫ 昨季ブンデス得点王のFWレバンドフスキが今夏にバイエルンMへ移籍。代わりにトリノから獲得した昨季セリエA得点王、FWインモービレが2得点と不振だ。持ち味は裏へ抜けるスピードで、ポストプレーやパワープレーも得意だった前エースの代役になり得ていない。昨季16得点でヘルタから加入したFWラモスも2得点、マンチェスターUから移籍の香川も1得点。いずれもW杯ブラジル大会出場や開幕後の加入で、プレシーズンの準備が不十分だった。

 ≪守備陣深刻(2)ケガ人続出≫ DFとMFに離脱者が多い。ボランチとセンターバックは試合ごとに顔ぶれが変わり、組織化が遅れ守備崩壊を招いた。攻撃の軸となるMFロイスも6、9月と左足首じん帯を痛めて離脱。開幕から不在で連係を深められず、クロップ監督にも再三のシステムやメンバー変更など迷いが生じた。しかも、10月下旬に復帰したロイスは11月22日のパーダーボルン戦で右足首じん帯を損傷。またも長期離脱が決まった。

 ≪プレス空転(3)相手の研究≫ クロップ監督の信条はボールを奪われたら素早くプレスをかけ奪い返す「ゲーゲン・プレッシング」だが、戦術は08年の就任から変わっていない。慣れているチームはプレスを避けるためにボール保持をある程度放棄してカウンターを狙うため、ドルトムントは対策を徹底する下位によく取りこぼす。進化を求め、3バックを今季導入したバイエルンMのグアルディオラ監督とは対照的だ。

 指揮官は「監督交代で運が変わるなら退くが、そうでなければ解決策が見つかるまで残る」と辞任を否定。今月下旬からの冬期中断中に立て直す意向を示した。だが、香川は1月のアジア杯出場で不在となる可能性があり、頭が痛いところだ。

続きを表示

この記事のフォト

2014年12月2日のニュース