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浦和FW興梠 大一番で強行出場志願「サッカーできなくなっても」

[ 2014年11月22日 06:20 ]

驚異の回復を見せる興梠(左)は練習で競り合う

J1第32節 浦和―G大阪

(11月22日 埼玉)
 首位・浦和は22日、ホームで勝てば8年ぶりのリーグ優勝が決まる2位・G大阪との大一番に臨む。右腓骨(ひこつ)骨折で離脱していたチーム得点王のFW興梠慎三(28)は21日の最終調整で戦術練習に加わるなど回復をアピール。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(57)に出場を直訴し、ベンチ入りする可能性が急浮上した。G大阪はFW宇佐美貴史(22)が逆転優勝へ、必勝を誓った。

 腹は決まった。驚異的な回復を見せる興梠が、大一番へ懸ける不退転の覚悟を示した。「後のことなんか考えていない。もしこれでサッカーができなくなっても悔いはない。最後に決めるのは自分。(状態は)100%とはいかないけど、70~80%くらい。それでも、気持ちは100%を上回るものがある」。今季チームトップの12得点を誇るストライカーとしての自覚と責任。勝てば戴冠が決まる天王山を前に、一言一言に力を込めた。

 まさにサプライズだった。前日(20日)の練習で部分合流したばかりの男が、この日はハーフコートでの11対11の戦術練習に加わった。サブ組のビブスを着けて約10分間、ピッチを走り回った。痛みからか、右足でのタッチは少ない。それでも点取り屋としての意地が興梠を突き動かしていた。練習後はペトロヴィッチ監督に強行出場を直談判。「ゲームもできたし、踏ん張れた。気持ちが高ぶれば痛みも消える。自分の意見を聞いて監督がどうするか。後は監督が決める」と興梠は話し、指揮官は「ベンチに入る可能性はある」と、その思いを受け取った。

 G大阪戦に向けての急ピッチ調整だった。10月26日の鹿島戦で右腓骨を骨折。クラブは「今季中の復帰を目指す」と説明したが、本人は大一番でのカムバックを照準に定めていた。負傷後の1週間は松葉づえでの生活を強いられ、アイシングだけを行う日々。チームドクターは「回復が早い」と舌を巻くものの、ヒビの入った骨はまだ完全にくっついたわけではない。それでも約1週間前から全体練習の片隅でランニングを開始。痛み止めを飲み患部にガチガチにテーピングを施して練習に臨む。動くたびに激痛が走るが、チームに貢献したいという思いが上回った。

 鹿島ではリーグ3連覇などを経験。優勝請負人として昨季加入したが、チームは終盤に急失速して6位に終わった。「優勝するために移籍してきた。優勝を決める時にメンバーに入れないのは厳しい」。男に二言はない。赤く染まる本拠地のピッチで、歓喜の瞬間を迎えてみせる。

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