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マツさんやったよ!隼磨号泣 松本J1昇格、福岡撃破で2位確定

[ 2014年11月2日 05:30 ]

<福岡・松本>昇格を喜ぶ田中(後列左から2人目)ら松本イレブン

J2第39節 松本2―1福岡

(11月1日 レベスタ)
 J2松本が悲願のJ1昇格を果たした。1日に行われたJ2第39節のアウェー福岡戦に2―1で競り勝ち、自動昇格権利を得る2位が確定した。11年に心筋梗塞で急逝した元日本代表DF松田直樹さん(享年34)の背番号3を継承する元日本代表DFDF田中隼磨(はゆま、32)は右膝痛を押してフル出場して勝利に貢献。就任3年目の反町康治監督(50)は03年の新潟、09年の湘南に続く3度目のJ1昇格となった。また富山は3試合を残しJ3降格となるJ2最下位が決定した。

 J1昇格を告げる笛が鳴り響くと、田中はピッチに倒れ込んで顔を両手で覆った。整列後にはイレブンと円陣を組み「俺たち、一生の仲間だぞ」と絶叫。「ありがとう松田直樹」と書かれたアンダーシャツ姿で場内を回り、敵地まで駆けつけた1216人のサポーターに笑顔で手を振った。

 昨季終了後に5年プレーしたJ1名古屋を契約満了で退団。複数のJ1クラブからオファーがあったが、J2松本入りを決めた。15歳まで過ごした故郷のクラブ。「使命だと思った。山雅以外のユニホームを着てプレーしている自分がイメージできなかった」という。

 11年に当時JFLだった松本に加入し、同年8月に急逝した松田直樹さんの存在も大きかった。横浜でともにプレーし、私生活でも仲が良かった先輩の背番号3を引き継ぐよう打診された際は松田さんの母・正恵さんらに相談。「是非つけて」と後押しされ、生前「山雅をJ1に上げて全国区にする」と話していた松田さんの魂を継承した。

 今年1月の入団会見で「自分の経験をこのチームに還元したい。若い選手には自分の背中を見て、少しずつでもいいので何かを感じてほしい」と話した田中は、あえて厳しい態度で他の選手に接してきた。「このチームは勝ち癖をつけるためのメンタルがまだ弱かった。だから意図的に厳しい言葉を言ってきた。嫌われようが、うるせえと思われようが、覚悟はできている」。背番号3の熱い思いに引っ張られるようにチームは序盤戦から勝ち点を積み重ね、ついに大輪の花を咲かせた。

 実は、田中の体はぼろぼろだった。5月の磐田戦で右膝を負傷。「医者からは手術が必要だと言われた」というが「自分の人生を懸けた」と満身創痍(そうい)の体でチームをけん引してきた。「試合前にマツさんのお姉さんと電話した。博多は生まれた場所と聞いた。運命を感じる。J1でもマツさんと一緒に戦っていきたい」。近日中にあえて封印していた松田さんのお墓参りをする。その時は堂々と報告するつもりだ。「マツさん、俺たちはやりました」と――。

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