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山口監督、声にならない「ありがとう」 盟友・奥大介さんに捧げる勝利

[ 2014年10月19日 15:38 ]

J2第37節 横浜FC3―0栃木

(10月19日 ニッパ球)
 現役時代からクールな印象が強い横浜FCの山口素弘監督(45)もさすがに感情を抑え切れなかった。

 選手として、強化部長として横浜FCに多大な貢献をした元日本代表MFの奥大介さん(享年38)が17日早朝に交通事故で亡くなってから2日後に行われた栃木戦。3―0の大勝で7試合ぶりの白星を挙げた後の勝利監督インタビューで、山口監督は何度も声を詰まらせた。「チームとしても…個人的にも…きょうは絶対に勝ちたい試合だった。選手もそういう気持ちでいたと思う…三ツ沢で勝つのはいいですね」。

 07年のJ1昇格とともに、奥さんは横浜から完全移籍で横浜FCに加入した。山口監督は当時チームの主将で、ともに元日本代表MFのベテランとしてなかなか勝てないチームを支え合った仲だった。そして、1年でのJ2降格が決まり、2人そろってこのシーズンを最後に現役を引退。奥さんが11年に強化部長としてひと足早くチーム復帰を果たすと、翌12年には当時解説者を務めていた元チームメートに奥さんが声をかけ、監督に就任した。

 「監督の第1歩を踏み出させてくれたのは大介だし、今ここに立っていられるのもあいつのおかげだし…」。感情が爆発しそうになり、インタビュアーに「…こういうのやめようよ」と寂しげな笑顔を浮かべながら声をかける。気持ちを何とか立て直し、「チームをJ1に上げようって、面白いサッカーをしたいよねと言っていたので…」と再び話し出すと、後方のボードに掲げられていた奥さんが現役時代に着ていた背番号14のユニホームがグラウンドに落下。寂しそうに、悔しそうに、そして愛おしそうに拾った山口監督はユニホームをそのまま自分の左肩にかけると、「三ツ沢の皆に勝利を届けたいと思っていました」と一言。そして、声にならない声で「ありがとう」と口もとが動いた。

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2014年10月19日のニュース