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「戦」ではなく「闘」 試合前、名波監督が伝えた勝利への心構え

[ 2014年9月29日 13:58 ]

<磐田・愛媛>試合中、指示を出す磐田の名波監督

J2第34節 磐田2―0愛媛

(9月28日 ヤマハ)
 “闘”って初陣に花を添えた。名波浩新監督(41)率いる磐田は愛媛に2―0で完勝し、14試合ぶりの完封勝利。後半3分にFW前田遼一(32)が7試合ぶりのゴールを決めると、同20分には今季2戦目の先発に抜てきされたMF松浦拓弥(25)が今季初ゴールを追加した。残り8節で2位松本との勝ち点差は5に縮小。自動昇格へ光が見えた。

 “闘”い抜いたイレブンがレジェンドの初陣に花をもたせた。25日の名波監督就任決定から3日。初勝利を見届けようと、わずかな間に売り上げたチケットは3000枚に及んだ。運営スタッフも「異例」と驚く注目度。期待に応えて名波ジュビロの第1号を決めたのは、キャプテンマークを託されたエース前田だった。

 後半3分、DF桜内渚(25)からのクロスをニアからヘディングで決め、「勝利できたのが一番良かった」と喜んだ。過去6戦でシュートは6本、ゴールはゼロ。指揮官就任会見では「エースがあれだけのシュートじゃ物足りない」と名指しで苦言を呈された。

 期待の表れだった。「ゴールで引っ張るだけでは物足りない。これからも信頼して尊敬されて、そこに責任をのしかけたかった」と託されたキャプテンマーク。その気持ちに4本のシュート、そしてゴールで応えた。

 2点目は今季2戦目の先発に起用された松浦だった。「初めての試合は一生に一度。監督を男にしたかったので気持ちが入っていた」と話す背番号11は、MF松井大輔(33)からパスを受けると、ドリブルからGKの正面で切り返して左足でシュート。指揮官の元へ駆け寄り、抱き合って破顔した。

 試合前、指揮官は「戦」の字に×をつけ「闘」の字を選手に示した。「戦」は全ての傭(よう)兵が緻密な作戦を理解して戦に挑むこと。短い期間で戦術の全てを理解できなくとも、後半戦3勝4分け5敗と闘争心を失っていたイレブンに、目の前の相手やゴールに全力で挑む心構えを伝えたかった。シュート数は15―2。全員が応えて“闘い”抜いた先に、自動昇格への光が見えた。

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2014年9月29日のニュース