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武藤 アギーレ・ジャパン第1号ゴール!エース候補に名乗り

[ 2014年9月10日 05:30 ]

<日本・ベネズエラ>後半6分、アギーレジャパン第1号ゴールを決めた武藤が歓喜の表情で両手を広げる

親善試合 日本2―2ベネズエラ

(9月9日 日産スタジアム)
 新戦力がアギーレジャパン第1号を決めた!!日本代表は9日、ベネズエラ代表と対戦し、2―2で引き分けた。0―0で迎えた後半6分、途中出場のFW武藤嘉紀(22=FC東京)がドリブル突破から先制ゴールを決めた。ハビエル・アギーレ監督(55)の立ち上げとなった今回の2試合が日本代表初招集だったプロ1年目の現役慶大生。18年W杯ロシア大会のエース候補として頭角を現した。
【試合結果 メンバー】

 誰もその勢いを止められない。武藤がアギーレジャパン第1号となる代表初得点を決めた。後半開始から柿谷に代わり3トップの左に入ると、その6分後だ。敵陣右サイドでボールを奪い得意のドリブルで約20メートル突進。追いすがる相手を振り切ってペナルティーエリアのわずか外から左足を振り抜くと、GKは一歩も動けずゴール右隅に突き刺さった。「絶対ゴールを決めようと思っていた。パスの選択肢もある中でのシュートだったのでGKも読めなかったと思う。(得点の瞬間は)時が止まった感じでした」。6万人を超える大観衆の前で初めて味わった感覚。後半22分にもスルーパスで追加点の起点となった22歳の現役慶大生は満面の笑みで振り返った。

 5日のウルグアイ戦で鮮烈デビューを飾った。93年のJリーグ発足以降の最年少代表デビュー弾は逃したが、後半43分には左ポスト直撃の強烈左足ミドルを放って札幌ドームを沸かせた。この日は前半に苦戦を強いられていた中、停滞ムードを左足一発で払しょく。その左足は大学1年のリーグ戦で半月板を損傷し、手術を受けた。復帰してもなかなか取れない違和感。「蹴ってもすぐ痛くなって水がたまって」。それまで味わったことのない挫折だった。それでも筋力トレで左足を強化して克服。努力は決して裏切らなかった。大舞台での一撃につなげた。

 プロ1年目の今季、一気にスター街道を駆け上がった。FC東京ではフィッカデンティ監督の信頼を勝ち取り、新人では08年の長友以来となる開幕戦先発出場。その後は鋭いドリブルと50メートル6秒の俊足を生かして得点を量産し、アギーレ監督が視察した8月23日の浦和戦では2得点。現役大学生ながらアギーレジャパン初陣で初招集を勝ち取った。甘いマスクで女性ファンも多く、日本代表の活躍で人気が全国区になることは間違いない。

 アギーレ監督からは試合後、スペイン語で「ムイビエン(とても良い)」と声を掛けられた。過去、代表新監督の第1号を決めた選手は、5大会連続でそのままW杯メンバーに選出されている。「4年後(のW杯ロシア大会)に向け、プロジェクトを進めているので日本の新しい血が活躍してうれしい」とアギーレ監督。3トップの左はドルトムントの香川とポジションが重なる可能性がある。「まだ、そのレベルに達していないけど、追いついて追い越したい」と武藤。既に慶大卒業に必要な単位を取得済みの秀才ストライカーが、一躍18年W杯のエース候補に名乗りを上げた。

 ◆武藤 嘉紀(むとう・よしのり)1992年(平4)7月15日、東京都世田谷区生まれの22歳。4歳でサッカーを始め、05年にFC東京の下部組織入り。ユースまでプレーし、トップ昇格せず11年に慶大に進学。12年にFC東京の特別指定選手となり、13年7月6日の広島戦でJデビュー。慶大サッカー部を退部し、今季からプロ契約。1メートル78、72キロ。利き足は右。

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2014年9月10日のニュース