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アギーレ新監督に期待される「回収力の向上」と「コントロール力」

[ 2014年8月11日 18:53 ]

会見を行うハビエル・アギーレ監督

 日本代表の新監督に就任したハビエル・アギーレ氏は11日の会見で18年W杯ロシア大会出場を目標に掲げ「競争力のあるチーム、切磋琢磨するチーム、どんなに強い相手でも全力で戦い、競い合うチームを作りたい」と所信を表明した。

 さらにメキシコ人指揮官は「ユース選手の育成にも興味を持っている」と有望な若手の発掘に意欲を示し「将来性のある選手、代表に入る意欲のある選手を選びたい」と話した。世代交代を積極的に進める意向を持っていることがうかがえた。

 W杯ブラジル大会で惨敗した後、日本協会は「方向性は間違っていない」とパス主体の戦術を継続する方針を示し、その方針に沿って監督を選んだ。しかしアギーレ氏はスペインの弱小クラブを率いた際にはカウンター攻撃を多用していた。ザッケローニ氏と同じ線上にいるとは思えない。それでもこの人事は悪くないと思っている。

 そもそもスタイルは代表監督に丸投げして作ってもらうものではない。日本人の特長は、高い技術とアジリティー(俊敏性)だ。ショートパスを駆使し、人もボールを動くサッカーに適した選手が多いことはずっと前から分かっている。代表監督はそこに味付けをするシェフだ。その意味で異なる大陸で代表とクラブチームの指導経験を持ち、戦術の引き出しが多いアギーレ氏は適任者ではないかと思うのだ。

 その上で求めることがある。1つはボール回収力の向上だ。パスサッカーを実現するには、まずボールを相手から奪わなければいけないからだ。W杯では不用意にボールを失い、カウンターを浴び失点を重ねた。ボールを失った後に奪い返す力がなかった。メキシコ代表監督時代に激しいプレッシングを実現させた手腕でボールを回収する術を植え付けてほしい。

 そして、もう1つが試合をコントロールする力だ。日本は試合の途中でテンポを変えたり、相手の変化に対応したりすることが苦手だ。W杯のコートジボワール戦でも先制しながら、相手の選手交代によってパニックに陥り逆転負けした。押し込むことばかり考えるのではなく、相手をいなしたり、スローダウンさせるような柔軟性を備えたチームに変えてほしい。

 アギーレ氏は、日本のサッカーについて「メキシコのスタイルに似ている。例えばボールハンドリング(扱い方)、バランスだ。守備を固めて勝利を目指したい」と指摘した。ザックジャパンの評価についてはコメントを控えたが、弱点はしっかり把握しているようだ。「守ることも攻めることもできるバランスの取れた選手を求めている。ボールを奪うことが重要」とも語った。4年をかけて、日本代表をどんな味に仕上げるのか、仕事ぶりに目を凝らしたい。

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2014年8月11日のニュース