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FC東京・太田「ワールドクラスです」左足FK弾で代表アピール

[ 2014年8月3日 05:30 ]

<FC東京・清水>前半ロスタイム、ゴールを決めて喜ぶFC東京・太田

J1第18節 FC東京4―0清水

(8月2日 味スタ)
 ロシアを目指す新星が躍動した。J1は2日に各地で9試合を行い、FC東京はホームで清水と対戦し4―0で快勝、5位に浮上した。左サイドバックの太田宏介(27)は前半43分に左足クロスでFW武藤嘉紀(22)の2点目をアシスト。前半ロスタイムには今季リーグ初となる得意のFK弾を決め、この日プロ初の2得点を決めた武藤とともに、アギーレジャパン入りを猛アピールした。

 太田がついに“伝家の宝刀”を抜いた。2―0の前半ロスタイム、ゴール前約25メートルで得たFK。相手GKの位置を確かめ思いっきり左足を振り抜くと、ボールは右ポストに当たってネットを揺らした。「GKを見たら右に寄っていた。壁の上を狙ってカーブというボールを待っていたと思うけど逆を突きました。ワールドクラスです」。新監督を迎えたばかりの古巣の息の根を止める一撃に、太田の口はいつも以上に滑らかだった。

 左サイドバックとして正確なクロスが武器の太田だったが、昨季後半戦からキッカーを務めたことで眠っていた才能が開花。コンパクトな振りで鋭いボールを蹴り公式戦で5得点を決めた。今季は7月12日の天皇杯2回戦の秋田戦で初得点。リーグ戦ではポストやバーに何度も嫌われていたが、約1年ぶり今季初の3連勝が懸かった大事な一戦で運も味方に付けた。前半43分には正確なクロスで武藤の2点目もアシストした。

 日本代表では横浜のMF中村以来、FKの絶対的なスペシャリストがいない。ブラジル大会ではキッカーとして期待された遠藤も本田もいまひとつだった。それだけに、正確な左足クロスと破壊力抜群のFKを持つ太田にとっては、初選出された10年1月のイエメン戦以来となる代表入りの大きなチャンス。自身も「FK枠で代表選ばれないですかねえ」と冗談交じりに話すほど代表復帰を虎視眈々(たんたん)と狙っている。この日のFKも「アギーレさん見てますか弾(ここにも良い選手がいますよ)」と自ら命名。メディアを通じてアギーレジャパン入りを猛アピールした。

 実は状態は万全でなかった。右足のかかとを痛め、ここ数試合は満身創痍(そうい)の状態。試合後「(痛み止めの座薬は)ツルッと入りました」と周囲を笑わせたが、この日も痛みをこらえて出場した。

 代表の左サイドバックには、FC東京でプレーしたこともある長友がいるが、フィッカデンティ監督は正確なキックとともに堅い守備力も認め「欧州でやれる」と実力に太鼓判。実際、オランダの名門トゥエンテも獲得に本腰を入れたこともある。「ワールドクラス」の左足を持つ太田が、FK弾量産でアギーレジャパン入りを目指す。

 ◆太田 宏介(おおた・こうすけ)1987年(昭62)7月23日、東京都 町田市生まれの27歳。麻布大渕野辺高時代に川崎FのFW小林らとともに全国高校サッカー選手権に2度出場。06年に横浜FCに入団し09年に清水移籍。12年からFC東京。07年のU―20W杯に出場し、10年1月のイエメン戦でA代表デビュー。1メートル78、78キロ。利き足は左。

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