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最後まで崩れなかったドイツ MVPはノイアーでも良かったのでは?

[ 2014年7月14日 13:00 ]

最優秀GK「ゴールデングローブ賞」に選ばれ、トロフィーを掲げるドイツのノイアー(AP)

W杯ブラジル大会決勝 ドイツ1―0アルゼンチン

(7月13日 リオデジャネイロ)
 6月から熱戦が続いたワールドカップ(W杯)ブラジル大会は13日(日本時間14日)、ドイツの24年ぶり優勝で幕を閉じた。ドイツの強さはどこにあったのか。アルゼンチンには何が足りなかったのか。スポニチ本紙評論家の川本治氏(62)に聞いた。

 決勝戦を見終えた川本氏はまず「前評判通り、ドイツは最後まで崩れなかった」と感想。「90分では0―0だったが、本当に質の高い、いい試合だった。決勝だからたくさん点が入った方が面白いと思う人もいるかもしれない。だが、緊張感のある、決勝戦にふさわしい、いい試合だった」と振り返った。

 ドイツの強さについては「フィジカルが強い。戦い方をいかにしてやるか、選手の役割がきっちりできている。相手のストロングポイントを潰せる」とポイントを挙げた。その上で、「(出場国の中で)一番攻守のバランスが良かったのがドイツ。攻守の切り替えも速かった。それが最後まで崩れなかった」とし、「それでも24年ぶりの優勝。それだけW杯で優勝するのは大変だということだ」と強豪国といえど、いかにW杯で勝つのが難しいか、ということを強調した。

 アルゼンチンが優勝を逃した原因については「結局、メッシに“おんぶに抱っこ”。良くも悪くもメッシしだい、というのが否めなかった。メッシはボールがあれば仕事ができる。だが、決勝トーナメントに入って以降、相手チームは彼に2人、3人と来ることが多くなった。そんな中、決勝でも何回か突破してチャンスを作ったが、それだけじゃダメ」と厳しく指摘。

 そんなメッシがMVPを獲得。だが、川本氏はそれに異議を唱えた。「メッシが元気なうちに優勝させてやりたかったという思いもある。だが、最後にMVPのトロフィーをもらって本人がああいう(暗い)表情をしているのを見ても、“こんなもの自分がもらってはダメ”だと本人が分かっている。優勝したドイツのGKノイアーがMVPでも良かったのではないか」と川本氏。「ただ、年齢的にメッシはもう1回チャンスがあると思うし、もう1回トライして欲しい。W杯という舞台でのメッシをもう1回見たい」とも付け加え、「もっとディフェンスして、もっと運動量が多ければ、今回も誰もがMVPと認めたと思う」と4年後に向けた課題を口にした。

 ◇川本 治(かわもと・おさむ)1952年(昭27)5月1日、北海道釧路市生まれの62歳。室蘭清水ヶ丘高校2年までGKを務め、中央大進学後以降はFWに転向。古河電工(現J2千葉)では9シーズンに渡ってプレーし、引退後はコーチ、監督、強化部長など要職を歴任した。現在は日本代表戦のほか、カテゴリーを問わずスタジアムに数多く足を運び、誠実な人柄で選手や関係者からの信頼も厚い。

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