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ファンハール監督 マジック不発…“GK専用PK”使えず

[ 2014年7月11日 05:30 ]

PKを外したスナイダー(右)はその後のPK戦を祈るようにしながら見つめる(AP)

W杯ブラジル大会準決勝 オランダ0-0(PK2―4)アルゼンチン

(7月9日 サンパウロ)
 死闘の末、オランダが散った。0―0で迎えたPK戦。1人目のフラールが甘いコースに蹴り失敗。3人目のスナイダーは左を狙ったシュートを止められた。背番号10は「PK失敗は残念。それ以上に120分間でチャンスを生かせなかったことに失望している」とうつむいた。ファンハール監督は「PK戦で敗れるのは最悪のシナリオだ」と険しい表情で語った。ここまで変幻自在のシステム、選手起用で勝負をものにしてきた知将も誤算には勝てなかった。

 打倒アルゼンチンのための策は施した。決勝トーナメント1回戦メキシコ戦で股関節を痛め離脱したデヨングを強行先発させメッシのマークにつけた。「壊し屋」の異名を持つボランチは相手エースに密着。後半17分に退くまで決定的な仕事をさせなかった。
 想定外だったのはファンペルシーの不調だ。腹痛のため前日練習は別メニュー調整。先発したものの体が重くシュートは0本。チームもゴール前に入り込めず120分でシュートは7本、枠内は3本止まり。2試合連続無得点は必然だった。

 ファンペルシーは徐々に動けなくなり延長前半6分にフンテラールと交代。3人の交代枠を使い切り準々決勝コスタリカ戦で途中出場しPK戦で2本を止めた“PK戦専用GK”クルルが使えなくなり、過去PK戦で13本中1本も止めたことがないシレッセンでPK戦に臨んだ。指揮官は「交代枠があればクルルを使いたかった」と嘆いた。

 PK戦で1番手を務めてきたファンペルシーがピッチを去りキッカー選びにも苦労。ファンハール監督は2人に打診したものの拒否され不慣れなDFに1人目を託さざるを得なかった。フラールは「入らなかったのは自分のキックが悪かったから」と肩を落とした。
 
 12日(日本時間13日)の3位決定戦でブラジルと対戦するが、ファンハール監督は「3位決定戦は必要ない。私は10年も言い続けてきた。世界王者になることだけが重要なんだ」と絞り出した。醜いサッカーと言われようとも結果だけにこだわってきた。またも目前で初優勝を逃したオレンジ軍団は深く傷ついている。

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