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GKロメロ 恩師ファンハールへPKセーブで最高の恩返し

[ 2014年7月11日 05:30 ]

1本目フラールのPKを止め、絶叫するロメロ(AP)

W杯ブラジル大会準決勝 アルゼンチン0―0(PK4―2)オランダ

(7月9日 サンパウロ)
 1メートル92の守護神が雄叫びを上げた。運命のPK戦。ロメロは1人目のフラールのキックを左に跳んで止めた。これで、一気にオランダをのみ込んだ。3人目のスナイダーの場面では「蹴る方向が分かっていた」と右にヤマを張り、見事に防いだ。ゴールマウスに立ちはだかった男は勝利が決まると、「本当にハッピーだ。自信はあったし幸運にも全てが良い方向に転がった」と興奮冷めやらぬ表情でまくし立てた。

 敵将に進化を見せつけた。ロメロは07年、当時ファンハール監督が率いていたAZにラシン(アルゼンチン)から引き抜かれた。その後、アルゼンチン代表の正GKにまで上り詰め、PK戦では2本を止める活躍だ。
 
 オランダのファンハール監督は試合後、「ロメロにはPKの止め方を教えていた」と冗談交じりに切り出し「だからこたえる」と話した。移籍当初はオランダ語を全く話せないロメロにスペイン語で語りかけて精神面の負担を減らした。技術面ではGKのAからZまでを叩き込んだという。09年3月、オランダ杯で敗れた際に、失点を招いた自分への怒りから更衣室の壁を殴って右手を骨折。愚行で残りのシーズンを棒に振った愛弟子を「スマートじゃない」と突き放したのも、成長を期待するが故の愛情の裏返しだった。

 試合後、ロメロは相手のロッカールームに出向いて恩師と対面。「習慣も言葉も全く違う国で、ファンハール監督は大きな助けになってくれた」とあらためて感謝した。今季は移籍したモナコで控えGKに甘んじ、実戦不足を不安視する声も多かったが、PK戦の活躍に加えて3試合連続完封も記録。ロメロにとっては最高の恩返しで世界一に王手をかけた。「この瞬間を楽しみ、あすから決勝に向けて準備したい」と声を弾ませた。

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