歯車狂った東欧遠征 監督と“王様”が求心力失いチームバランス崩壊

[ 2014年6月26日 13:20 ]

コロンビアに完敗した代表イレブンはサポーターに深々と頭を下げる(AP)

 日本代表は10年W杯南アフリカ大会に続く決勝トーナメント進出を逃した。欧州のビッグクラブに所属する本田、香川、長友らを擁し、史上最強軍団とも呼ばれたザックジャパン。なぜ結果を残せなかったのか、「誤算」につながった出来事を検証。指揮官と選手の間に溝ができ始めた東欧遠征の舞台裏を探る。

 歯車が狂い始めたのは昨年10月、セルビア、ベラルーシに連敗した東欧遠征からだ。引いた相手を崩せず、戦い方に疑問を持った本田、遠藤、長谷部がザッケローニ監督の元に向かった。「サイドチェンジも使うべき」「戦い方を変えるべき」など直接、訴えた。

 直後、指揮官はW杯南アフリカ大会に出場したメンバーと香川を呼び、さらに意見を求めた。その議論自体は忌憚(きたん)のないものになった。だが呼ばれなかった選手は疎外感を味わい、不満が噴出。選手ミーティングが頻繁になったのはその頃からだ。指揮官の求心力は急速に失われていった。

 もともと、ザック体制は本田を中心としてチーム編成が進んだ。特定選手を特別扱いすれば、不満分子を増幅させる。ある主力選手は「圭佑君にはほとんど指示が出ない」と証言する。体の向き、位置まで1メートル単位で指導する指揮官だが、本田だけは別だった。好調時ならそれでもいいが、今季の本田は明らかに苦しんでいた。空気は微妙になっていた。

 8年前、ドイツでの屈辱が今回の1次リーグ敗退に重なる。あの時も中田英寿というアンタッチャブルな存在がいた。そうした集団は、いったんバランスが崩れると再び結束するのは難しい。21日のシュラスコ店での決起集会。本田の周りに座ったのは長友、岡崎ら普段から仲の良いメンバーだけだった。

 傾きかけていた日本代表に追い打ちをかけたのが、W杯に向けた不可解な強化試合だ。ニュージーランド、キプロス、コスタリカ、ザンビアと、強豪国はゼロ。そもそも5月下旬をW杯に向けたフィジカル強化に充てる予定だった指揮官は、5月27日のキプロス戦開催に猛反対していた。だが当然のごとく日本協会に押し切られた。

 結果的に格下との強化試合では連勝を重ねた。調子を落としていた本田もザンビア戦では2得点し、不調がうやむやになった。指揮官は本田の本当の調子を見極める機会を失った。ザックジャパンは軌道修正できないままW杯を迎えていた。

続きを表示

「サッカーコラム」特集記事

「マラドーナ」特集記事

2014年6月26日のニュース