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スペイン時代の終わり…前回王者がまさかの1次L敗退

[ 2014年6月20日 05:30 ]

1次リーグ敗退が決まりショックを隠せないスペイン代表GKカシージャス(AP)

W杯1次リーグB組 スペイン0―2チリ

(6月18日 リオデジャネイロ)
 王者が無残に散った。10年南アフリカ大会優勝国でFIFAランク1位のスペインは18日(日本時間19日)にチリと対戦し、0―2で完敗。オランダとの初戦に続いて2連敗となり、最終戦を残し1次リーグ敗退が決まった。前回大会優勝国の開幕2連敗は史上初、1次リーグ敗退は5度目。イタリア、ブラジルに続く史上3チーム目のW杯連覇も消滅した。
【試合結果 スペイン代表 メンバー B組順位表&日程】

 疲労感にまみれた姿に王者の風格はなかった。イニエスタは「我々は最上階にいたが今は一番下まで落ちてしまった。W杯敗退が決まったこの瞬間はとても残酷で困難なものだ」と絞り出した。

 ショートパス主体の「ティキタカ」と呼ばれる攻撃的スタイルでW杯南アフリカ大会を初制覇。08、12年の欧州選手権も連覇し主要大会3連覇という前人未到の偉業を達成した。その武器であるパスワークがチリの激しいプレスで寸断された。相手に寄せられたシャビ・アロンソのパスミスから逆襲を受けた前半20分の失点は象徴的だった。

 敗因はいくつか挙げられる。シャビ・アロンソは「W杯で勝つためのハングリー精神を保つことができなかった。喜びと成功の持ち分を使い果たした」と証言する。今大会メンバー23人中18人が2年前の欧州選手権、16人が南アフリカ大会の経験者。ビッグタイトルを獲得しモチベーションを保つのが難しくなった。

 主力の高齢化も一因。34歳のシャビは運動量が落ちチリ戦は出番がなかった。33歳のGKカシージャスは所属のRマドリードでリーグ戦では控え扱い。チリ戦でもクリアミスで2失点目を許すなど衰えは隠せない。

 敵将サンパオリ監督は「クラブの激しいタイトル争いで疲弊していた」と指摘する。23人全員が欧州CLに出場し国内リーグとの掛け持ちを強いられた。今季スペイン・リーグは5月17日の最終節まで優勝争いが続いた。ジエゴ・コスタは最終戦で右太腿負傷を悪化させながら1週間後の欧州CL決勝に強行出場した過密日程の被害者。W杯には間に合ったが持ち味は発揮できていない。

 スタイルが研究されたことも明白。初戦のオランダ同様にチリも5バックの守備的布陣を敷きマンツーマンの執ような守りでパスを封じてきた。

 2試合で1得点7失点という惨状。カシージャスは「自分も含め30歳以上の選手がいる。監督が決断し、我々もそれを尊重する」と世代交代は不可避と強調し、2年後の欧州選手権まで契約を残すデルボスケ監督は「私自身やチームについて正しい答えを出すための時間が欲しい」と進退に言及。無敵艦隊が築いた一つの時代が終えんを迎えた。

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