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メッシ 代表でも輝く一発!“約束の地”マラカナンでついに覚醒

[ 2014年6月17日 05:30 ]

ボスニア・ヘルツェゴビナ戦でゴールを決めてガッツポーズするアルゼンチン代表メッシ(AP)

W杯1次リーグF組 アルゼンチン2―1ボスニア・ヘルツェゴビナ

(6月15日 リオデジャネイロ)
 マラドーナ2世が、ついにW杯で覚醒した。優勝候補のアルゼンチンは15日(日本時間16日)、今大会唯一の初出場国ボスニア・ヘルツェゴビナと初戦を行い、2―1で勝利。勝ち点3を獲得した。3大会連続の出場となった主将のFWリオネル・メッシ(26=バルセロナ)が、06年ドイツ大会1次リーグのセルビア・モンテネグロ戦以来、2大会ぶりの通算2ゴール目を記録。世界最高のストライカーが、ついに4年に1度の祭典で輝きを放った。
【試合結果 アルゼンチン代表 メンバー F組順位表&日程】

 感情が爆発した。ゴールを決めたメッシは雄叫びを上げ、アルゼンチンという国を誇るように、ユニホームの裾をわしづかみにした。仲間と喜び合い、サポーターに向かって右手を突き上げた。06年6月15日以来、ちょうど8年ぶりのW杯での得点は、クールな男の心をむき出しにさせた。

 「僕にとってはスペシャル。初戦なので心配だしナーバスにもなった。勝ち点3を得てスタートすることが重要だった」

 前半3分、自ら蹴ったFKがW杯史上最速のオウンゴールを誘って先制。そして後半20分、中盤から高速ドリブルで前進すると、イグアインとのワンツーからバイタルエリアに進入。左に持ち出し1人をかわすと、左足で放った低い弾道は左ポストの内側を叩き、反対側のネットを揺らした。「代表でゴールを決めることは、常にプレッシャーだよ」と吐露した。

 4年連続で世界最優秀選手に輝き、13歳から所属するバルセロナでは欧州CLを3度制した。あらゆる栄冠と名声を得てきた男にとって、W杯優勝は最後にして最大の目標だ。しかし、前回大会は5試合無得点。当時のマラドーナ監督と並び準々決勝敗退の戦犯にされ、母国では「代表ではクラブと同じように活躍できない」との定説が生まれた。

 転機は11年7月のサベジャ監督の就任だ。指揮官はメッシ中心のチームをつくり、就任初戦から主将に指名した。すると12年6月のブラジルとの親善試合でハットトリック、W杯南米予選では10得点を記録。この日も前半で5―3―2の戦術に見切りを付け、後半開始からイグアインを投入して4―3―3に変更。3トップの右に入ったメッシの負担は減り、得意のドリブルで切れ込むシーンが増えた。試合後にも「W杯で何が起きようと、メッシは世界最高の選手であり、サッカーの歴史でもその一人だよ」とコメント。戦術に加えて繊細なエースの精神的負担も軽減し、実力を引き出すことに成功した。

 開幕戦を上回る今大会最多の7万4738人を集めたマラカナン。クラブの同僚でブラジル代表のネイマールとは、その聖地で決勝を戦おうと約束した。殻を破ったメッシにも、頂上決戦までの道程がはっきりと見えた。

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