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【オシムの提言1】弱点だった守備、まずまずの手応え…課題はCBではない

[ 2014年6月1日 11:45 ]

「よく走る」と太鼓判を押す山口

 米国で合宿中の日本代表は、日本時間3日に仮想コロンビアのコスタリカ、同7日に仮想コートジボワールのザンビアと練習試合を行いブラジルに乗り込む。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏(73)は5月27日の仮想ギリシャのキプロス戦を受け、仕上げの段階に入った日本代表について、守備の課題はセンターバックではないと指摘。また攻撃面では大久保と柿谷を評価し、香川の復活を躍進のポイントに挙げた。

 W杯で簡単に勝てる相手はない。客観的に見て、日本のC組の1位通過候補筆頭はコロンビアだろう。コロンビアと対戦する前に、初戦と第2戦で勝ち点4以上を挙げたい。ただ、心配はしていない。楽観している。正確にいえば、私は「慎重な楽観主義者」だ。

 ブラジルで何か大きなサプライズを起こすとすれば、それは日本ではないか。(キプロス戦を見た後の)今はそういう気がしている。もちろん油断は禁物だ。 

 <キプロス戦> 戦い方には好印象を持った。仮想ギリシャという試合だが、キプロスは国民の大多数がギリシャ系で、サッカーでもメンタリティーが似ている。もちろん選手個々のレベルは異なるものの、欧州で鍛えられたチームだ。W杯欧州予選でもよく戦った(アイスランドに勝ち、スイスと引き分け)。準備のための試合としては、良かったのではないか。試合結果には少し物足りなさを感じるが、前半だけでも4、5回のチャンスをつくることができた。

 ボールがよく動いていたし、欧州組がしっかりしたプレーを見せた。もちろん、本番ではこれ以上の良いプレーをしてほしい。そうでなければW杯では勝ち抜けない。

 <守備の課題&対応> 以前から日本の弱点はディフェンスだと指摘してきたが、この試合に限っては大きな破綻はなかった。センターバックは、今野、森重、吉田の3人がプレーしたが、それぞれ経験を生かして安定したプレーをした。GK川島を含めて、ゴール前のディフェンスは大きな問題はなかった。

 長谷部に代わって先発した山口は面白い選手だ。非常によく走り、ゲームの流れが見えているようだ。ただ、内田と交代した酒井宏はボールを奪いに行ってかわされ、置き去りにされる場面があった。キプロスでなくギリシャだったら致命的な場面になりかねないところだ。

 それと何度かあったカウンターからのピンチはセンターバックの責任ではない。前線でボールを失うことが原因だ。日本は特に守備の時に、大柄な相手選手と1対1では不利なのだから、組織で守るしかない。センターバックまで攻められる前に、守備の任務を完了してしまうことだ。

 つまり、ボールを失ったら、ただちに岡崎のような選手がファーストディフェンダーとして相手を追い、中盤の選手がパスやドリブルをカットしてしまうのだ。中盤から前線には良い選手がそろっているのだから不可能ではない。

 守備の文化で有名なイタリア出身の優秀な監督がいることも、忘れてはならない。W杯本番では、対戦相手に応じて異なった戦い方をしてくれることだろう。

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2014年6月1日のニュース