×

ペケルマン監督 低迷コロンビアを変えた3つの改革

[ 2014年5月31日 11:00 ]

アルゼンチン代表も率いたコロンビア代表ホセ・ペケルマン監督(AP)

 W杯ブラジル大会1次リーグC組で、日本代表が第3戦(6月24日)で対戦するコロンビア代表を4大会ぶりの本大会出場に導いたのが、ホセ・ペケルマン監督(64)だ。南米予選途中の12年1月に就任したアルゼンチン出身の指揮官が、過去3大会で予選敗退するなど低迷していたチームをどう改革したのか。10年に日本代表監督候補にも名前が挙がった知将の手腕に迫った。

【W杯グループC】

 ペケルマン監督のコロンビア強化はFIFAランクに表れている。就任した12年1月時点は35位で、19位の日本よりも下だったが、現在は5位まで上昇した。13年7~8月は最高の3位を記録した。

 コロンビアは南米予選開幕3試合で1勝。成績不振で解任されたアルバレス前監督を引き継いだ新指揮官が行った一番の変革が新エース決定だった。予選3試合で途中出場1試合だけだった控えのFWファルカオを先発に抜てきし、12試合連続フル出場と主軸に固定。「アルゼンチンがメッシのためにプレーするように、コロンビアはファルカオのためにプレーしなくては」と周囲に徹底サポートを求め、新エースはチーム最多9得点と爆発。13試合8勝で予選2位突破の原動力となった。1月に左膝じん帯を損傷し、W杯出場が微妙なファルカオを「最後の一秒まで待つ」と言うのはエースと“心中”する覚悟の表れといえる。

 ピッチ外ではコロンビア協会の悪習を改めた。その象徴が飛行機の座席割り。ファーストクラスに協会幹部らが座り、選手はエコノミー席に押し込まれていた。指揮官は協会に直訴してファースト、ビジネスクラスに選手、自身を含むコーチ陣や協会幹部をエコノミー席に変更。協会やスポンサーの関係者の宿舎への出入りも制限し選手が集中できる環境を整えた。

 ペケルマン監督は“マニア”と呼べるほどの情報収集家。普段は朝8時から夜11時までオフィスにこもり、5台のテレビでコロンビア選手を中心に世界中の試合をチェックしているという。集まった膨大なデータは情報専門のワイネル・コーチが分析し、選手の集中が続く最長30分のビデオなどに編集して伝達。また心理面も重視し、メンタル専門のロフェ・コーチが選手をサポートするとともに、42歳GKモンドラゴンを選出するなど心理的な人間関係をチームづくりに生かしているという。

 「素晴らしい選手にスタッフ。コロンビアは成長し続けている。成功できると希望を抱いてW杯に向かう」とペケルマン監督。コロンビアの過去最高は90年イタリア大会の16強で、2度目の決勝トーナメント進出へ、日本戦は大一番となる。

 ◆ホセ・ペケルマン 1949年9月3日、アルゼンチン生まれの64歳。現役時代はMFでインディペンディエンテ・メデリン(コロンビア)などでプレーし、膝のケガのため28歳で引退。古巣アルヘンティノス(アルゼンチン)の下部組織などで指導経験を積み、94~01年にU―20アルゼンチン代表を指揮。世界ユース選手権(現U―20W杯)を95、97、01年と3度制した。04~06年に同A代表を率いて06年W杯ドイツ大会に出場(8強)。トルーカ(メキシコ)監督などを経て12年にコロンビア代表監督に就任した。

続きを表示

2014年5月31日のニュース