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“カナリア”飛び立てない?デモ隊に囲まれたブラジル代表

[ 2014年5月28日 05:30 ]

デモ隊に取り囲まれたブラジル代表イレブンを乗せたバス(AP)

 FWネイマール(22=バルセロナ)ら地元開催のW杯で優勝を狙うブラジル代表がチーム始動日の26日、W杯開催に反対する300人規模のデモ隊の襲撃を受けた。リオデジャネイロのホテルでは選手の乗ったバスがデモ隊に取り囲まれる場面もあった。悲願の地元優勝を狙うセレソンは、国民の抗議の中で異例の船出となった。

【W杯日程 ブラジル代表メンバー】

 異例の出陣となった。欧州CLを制したRマドリードのDFマルセロを除くブラジル代表の選手がリオデジャネイロのホテルに集合し、合宿地のテレゾポリスへ向けて出発しようとした時だ。約300人のデモ隊が選手を乗せたバスを取り囲んだ。

 教育や福祉の充実を訴えてストライキ中の教師たちは「W杯は去れ」と大声を上げてバスを叩いたり、蹴ったりした。「教師はネイマールよりも価値がある」と書いたプラカードを持つ教師もおり、激しい抗議活動を繰り返した。到着したテレゾポリスでも、約30人の別グループがデモ活動を行った。デモに参加した教師は「貧しい市民はW杯に興味がない。教育に使われる金が奪われている」と訴えた。

 W杯のプレ大会として開催された昨年のコンフェデ杯の際も、ブラジル全土で大規模なデモが実施された。サッカースタジアム建設に多額の税金が使われていることに不満を持つファンがスタジアムの外で警察と衝突したこともあった。試合に影響はなかったが、騒動鎮圧のために催涙ガスが使用されたほどだった。

 この日、会見したパレイラ・テクニカルディレクター(TD)は「みんな代表チームに反対しているわけではない。応援してくれると信じている」と語り、チームには影響がないことを強調。94年米国大会で監督として優勝した同TDは最多記録更新となる6度目の大会制覇に向け「私たちは優勝候補だ。経験豊かな選手たちが、ホームで戦うことができる」と揺るぎない自信を示した。

 だが、デモは今後も拡大する可能性がある。今回はバスが囲まれただけで選手の身に危険が及ぶことはなかったが、抗議活動はさらに激しくなることも考えられる。地元開催のセレソンがピッチ外に頭の痛い問題を抱えることになった。

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2014年5月28日のニュース