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指揮官は否定も…W杯アルゼンチン代表に“テベス待望論”

[ 2014年3月11日 05:30 ]

2010年10月、アルゼンチン代表として親善試合・日本戦に出場したテベス

 6月12日に開幕するW杯ブラジル大会で3度目の優勝を狙うアルゼンチン代表に“ベテラン待望論”が浮上してきた。5日の親善試合ルーマニア戦で0―0の引き分けに終わったこともあり、セリエAで得点ランク1位(15得点)と好調のFWカルロス・テベス(30=ユベントス)の代表復帰を求める声がOBやファン、メディアから高まってきたもの。アレハンドロ・サベジャ監督(59)は新たな選手の招集を否定したが、5月のW杯メンバー発表は世界的な注目を集めそうだ。

 W杯ブラジル大会の優勝候補らしからぬ、低調な内容だった。アルゼンチンは本番を見据えたベスト布陣で臨みながら、W杯欧州予選敗退のルーマニアを相手に無得点。昨年9月以来の代表復帰となったエースのメッシは試合中におう吐するなど精彩を欠き、イグアイン、アグエロというスターをそろえた3トップは不発に終わった。

 この結果を受け、がぜん注目度が高まったのがテベスだ。報道陣から招集の可能性を問われたサベジャ監督は「現在の選手、FWに自信を持っている。いない選手のことは話したくない」とこれまで通り否定的な見解を示した。その一方でDFとしてW杯に3度出場した元同代表主将のアジャラ氏はスペインのラジオで「代表にふさわしい。チャンスを与えるべき」と発言。支持の理由は今季加入したユベントスでリーグ1位の15得点を挙げる好調ぶり。9日のフィオレンティーナ戦で3戦連続得点はならなかったが、前半7分に前線の守備でボールを奪ってシュートを放つなど切れのある動きを披露した。

 テベスが同代表でプレーしたのは11年7月の南米選手権が最後。直後に就任したサベジャ監督は一度も招集していない。指揮官は明言していないが、地元メディアが大きな理由として挙げるのが「過去の指揮官とのトラブル」(ディアリオ・ウノ紙)。11年に所属していたマンチェスターCでマンチーニ監督と衝突し、無断帰国などの騒動を起こしており、メッシを中心に先発が固定されたチームに、あえて“問題児”を加えるリスクは必要ないという判断だ。

 一部にはメッシら他の選手との不仲説もあるが、テベスは「メッシとも凄い良い関係だ」と否定。W杯出場には「全ては監督次第」としつつ「僕を選ばないのは簡単なことではないと思う。ファンの重圧は凄いからね」と意欲をのぞかせる。自身が言うように、貧困地区出身で地元のボカ・ジュニアーズでも活躍したテベスの母国での人気はメッシをもしのぐ。3度目のW杯出場は、“世論”が指揮官の決断にどう影響するかが鍵となりそうだ。

 ≪不出場なら異例≫セリエA得点王が直後のW杯に出場できなければ異例と言える。90年イタリア大会以降では、02年にフランス代表トレゼゲ(ユベントス)と並んで24得点を挙げたイタリア人フブナー(ピアチェンツァ)のみ。90年はオランダ代表ファンバステン(ACミラン)、94年はイタリア代表シニョーリ(ラツィオ)、98年はオランダ代表ビアホフ(ウディネーゼ)、06年はイタリア代表トニ(フィオレンティーナ)、10年は同代表ディナターレ(ウディネーゼ)とそうそうたるストライカーがタイトルを手土産にW杯出場を果たしている。

 ◆カルロス・テベス 1984年2月5日、アルゼンチン生まれの30歳。ボカ・ジュニアーズ、コリンチャンス、ウェストハムを経て、マンチェスターUから09年に宿敵マンチェスターCに移籍。昨夏にユベントスへ加入。10~11年プレミアリーグ得点王。04年アテネ五輪で得点王に輝き優勝に貢献。同年A代表デビューし、W杯は06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会に出場。1メートル73、75キロ。利き足は右。

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2014年3月11日のニュース