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ブラジル W杯Vへ不安…“王国”なのに絶対的1トップ不在

[ 2014年3月4日 08:15 ]

コンフェデ杯の日本戦で今野(右)と競り合うブラジル代表FWフレッジ

 6月12日のW杯ブラジル大会開幕まであと100日。5日には各地で親善試合が行われ、ブラジル代表は敵地で南アフリカ代表と対戦する。地元開催で優勝候補の大本命とみられているカナリア軍団だが、不安材料が浮上。1トップは、ともにブラジル国内でプレーするFWフレッジ(30=フルミネンセ)とFWジョー(26=アトレチコ・ミネイロ)が務めるが、選手層の薄さとコンディションに、地元でも懸念の声が高まっている。

 古くはペレ、最近ではロマーリオ、ロナウド…。数々の名選手が活躍してきたブラジル代表のセンターFWが人材難に陥っている。地元開催でW杯最多記録を更新する6度目の優勝を狙う“王国”の現代表には、ネイマール(バルセロナ)を筆頭に欧州ビッグクラブで活躍するスターがズラリ。しかし唯一、海外組がいないのが、4―2―3―1布陣の1トップだ。

 5日の南アフリカ戦に向けたメンバーで同ポジションを務めるのは、ともに国内組のフレッジとジョー。それぞれ国際Aマッチ通算30試合16得点、14試合5得点で、通算62得点のロナウドら歴代の名FWと比べると実績に乏しく、OBからも不安の声が上がる。02年W杯日韓大会の優勝メンバーで柏でもプレーした元同代表FWのエジウソン氏は「セレソンはどうしたんだ?俺が現役の頃はロナウド、ロマーリオ、ミューレル(元柏)、エジムンド(元浦和)、ルイゾン(元名古屋)らと定位置を争った。今じゃみんな、フレッジ一人だけの心配をしてる」と層の薄さを嘆く。

 同氏の言う「心配」とは体調面だ。フェリペ監督から先発として期待されるフレッジだが、昨年は太腿のケガで計5カ月も離脱し、ブラジル全国選手権に出場できたのはわずか9試合(3得点)。今年の州選手権は6試合でまだ1得点だ。状態を上げるため、2日にはオフ返上でクラブの練習場で汗を流した。

 地元紙ランセのガルシア記者は「フレッジの調子いかんにかかわらず9番(1トップ)の現状は危機的だ」と説明。フェリペ監督は、スペイン代表との争奪戦となった二重国籍を持つFWジエゴ・コスタ(Aマドリード)を「君はフレッジに次ぐFWだ」と勧誘。結局失敗したことが今になって響いている。同代表のパレイラ・テクニカルディレクターが「ストライカーはフレッジとジョーがケガをしない限り代わらない」と強調するのも、代役になり得る逸材がいない裏返しだ。ブラジルのW杯メンバー発表は5月7日。その前の最後の国際Aマッチ、5日の南アフリカ戦で、1トップが懸念を払しょくする活躍ができるか注目だ。

 ≪ゴール数が成績に影響≫ブラジル代表は主力FWのゴール数が、チームの成績に大きく影響している。優勝した94年米国大会はロマーリオが大会3位タイの5ゴールを挙げれば、02年日韓大会は“怪物”と言われたロナウドが得点王となる8ゴールを挙げてチームをけん引。一方でロナウド、ルイス・ファビアーノがそれぞれ3得点に終わった06年ドイツ大会、10年南アフリカ大会はいずれも準々決勝で敗退している。

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