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【オシムの提言2】岡崎が新時代のFW、麻也の経験は日本の財産

[ 2014年2月26日 08:36 ]

サイズを運動量と献身的な守備で補う岡崎は新たなFW像を確立した

 吉田(サウサンプトン)は出場が増えた。試合に出られない間もいい経験を積んできたはずだ。練習するだけでも、アングロ・フットボール(英国式のサッカー)を肌で感じることができる。彼自身のためだけでなく、日本のサッカー界にとって貴重な財産になるだろう。日本人が欧州で活躍しはじめたころはMFばかりで、DFやFWは多くなかった。それが最近では代表クラスの選手だけで15~16人も主要リーグでプレーしている。試合に出られるか否かだけで成功、失敗と決めつける必要はない。挑戦する時、無駄なことはひとつもない。

 本田は新聞もテレビも、勝っている時は天まで持ち上げて、負ければ酷評する。プロはそういう見方はしない。わたしは簡単には評価を変えない。本田にはミランのリーダーになれる潜在力があると言ったが、その見立てが正しければ、チームメートは本田を信頼し、頼りはじめているころだろう。選手たちは試合の時だけ集まってプレーするのではない。毎日練習するし、寝食を共にしている。本田はまだ若いが、責任感がありチームの中で果たすべき役割を果たしている。だからこそシードルフ監督も本田を信頼して起用しているのだ。試合に出ているというのはそういうことだ。

 注目しているのは岡崎(マインツ)だ。ある意味で新しい時代のFWだといえる。よく走り、運動量がある。ファーストディフェンダーとして守備も献身的にやる。相手にとっては非常に嫌なタイプだし、監督にとっては使いやすい。身長が1メートル74でそれほど高くないが、アグレッシブさが補っている。

 日本代表主将・長谷部(ニュルンベルク)が離脱しているが、ケガは治る。医学も進歩して、治療期間は以前より短くなっている。心配があるとすれば、ケガをしたことにショックを受けて、失望してしまうことだ。負傷から来る焦りやプレッシャーと戦うには、メンタル面でタフでなければならない。必ず治ると信じて治療とリハビリの努力を続けること。再び元気にボールを蹴って走っている自分を想像する。W杯に出場している自分を想像する。そうしてモチベーションを維持し、高めていくことだ。

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2014年2月26日のニュース