C大阪“超大物”フォルラン獲得成功の裏に2つの理由

[ 2014年1月25日 10:13 ]

昨年8月の親善試合で本田(右)と競り合うウルグアイ代表FWフォルラン(左)

 C大阪が超大物FWのフォルランと1年契約で合意に達した。現役のウルグアイ代表だけに、その話題は世界中で注目された。近年のJリーグにはなかったビッグネームの獲得。成功の裏には何があったのか。

 きっかけは昨年8月14日に宮城スタジアムで行われた親善試合・日本―ウルグアイ戦だった。2トップの一角として先発したフォルランは、いとも簡単に2ゴールを奪った。この試合を現地で観戦していたクラブ首脳は「この選手だな」と直感的に思ったという。関係者に聞けば、人間的にも優れているという。日本代表FW柿谷を生かし、チームを新たな次元へと導くプレーヤー。それがフォルランだった。

 インテルナシオナルで約5億円の年俸をもらっていた世界屈指のアタッカー。獲得費用を捻出することは容易ではなかったが、スポンサー収入などで勝算はあった。同8月中には、パートナーカンパニーであるヤンマーの了解も得て、超大物獲得に向けた「ビッグプロジェクト」が発足。事情を知るのは数人の関係者だけに限られ、秘密裏に計画は動き始めた。

 極秘の情報もつかんでいた。11年にインテル・ミラノからインテルナシオナルに移籍した際、その移籍金を支払ったのがフォルラン自身だという事実。これは、インテルナシオナルとフォルランが契約解除する際に、移籍金がかからないことを意味していた。年俸が高額とはいえ、移籍金がかからない。日本に対して好印象を抱いていたことも大きな後押しだった。

 超大物の補強は、クラブ史上初のタイトル奪取への切り札だった。そしてまた、獲得の裏側にはもうひとつの理由があった。

 昨年7月の東アジア杯で柿谷と山口が日本代表で活躍したことから、C大阪は史上空前のバブルに突入した。昨季の1試合平均観客数は前年比の11%増。“セレ女”(セレッソサポーターの女子)という言葉も生まれ、夏以降は、長居で試合を開催すれば観衆が3万人は超える状況となった。

 ここでクラブはさらなる挑戦を決断した。「3万人を維持する」のではなく「4万人にするためにはどうすればいいのか」。それが、フォルラン獲得のひとつの理由だった。リスクではなくチャンス――。岡野社長は「サッカークラブとして、これが本当の興行の仕方だと思う。何よりも、スタジアムに見に来てくれるお客さんにもっと楽しんでほしい」と口にする。

 昨今では不況のあおりを受け、ビッグネーム獲得に乗り出すクラブはめっきりと減っていた。ただ、それは一切関係なかった。語学堪能で海外に強い日本人の代理人に依頼し、昨夏から慎重に調査を開始。フォルラン自身の代理人と初めて接触できたのは昨年12月だった。ここから交渉は一気に進み、晴れて契約書にサインをもらった。

 「育成型クラブ」を掲げるC大阪だけに、この補強には「?」の声も挙がる。しかし、現役時代にドゥンガやスキラッチとともにプレーした勝矢強化部長が「本物を感じることで周りも成長してくれるはず」と語るように、有形無形の効果があることは間違いない。若き才能と世界のスーパースターが融合した時、どのような化学反応が起きるのか。楽しみは尽きない。

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