富山第一 北陸勢対決制し初V!0―2から歓喜の大逆転

[ 2014年1月14日 05:30 ]

<富山第一・星稜>優勝して喜ぶ富山第一イレブン

全国高校サッカー選手権決勝 富山第一3―2星稜

(1月12日 国立)
 富山第一(富山)が星稜(石川)を延長の末に3―2で破り、初優勝を果たした。後半ロスタイムに大塚一朗監督(49)の次男であるMF大塚翔主将(3年)がPK弾を決め、延長後半9分にMF村井和樹(3年)が勝ち越し点。決勝での0―2からの逆転勝利は首都圏開催となった第55回(76年度)以降では初めて。富山第一が指揮官と主将の父子鷹で史上初の北陸勢同士の決勝を制し、頂点に駆け上がった。
【試合結果 トーナメント表】

 大塚監督はベンチ前で膝をついて祈り、次男・翔は国立の視線を一身に集めていた。1―2の後半ロスタイム。竹沢が倒されて得たPKでキッカーを務めた。「日本一になって父に恩返しがしたい」。並々ならぬ思いを乗せたこん身のシュートがGKの逆をついてゴール左に吸い込まれた。初優勝に望みをつなぐ同点弾。「親と子で難しい関係だけど、それを乗り越えることができた」。翔は喜びを爆発させた。

 まさに土俵際で踏みとどまった。序盤から果敢に攻め込むが、今大会無失点の星稜守備陣をこじ開けられずに2失点。1年前に新チームとなってから公式戦では逆転勝利の経験がなかった。それでも、後半42分に高浪が1点を返し、ラストワンプレーのPKで翔が振り出しに戻した。翔は毎日必ず全体練習後にGK相手にPKを練習。「練習の成果が出ました」。勝利の女神は富山第一にほほ笑んだ。指揮官は「こんな感動的なフィナーレがあるかと思うくらい感動した」と振り返った。

 父と子で歩んできた道は険しかった。大塚監督は英国に指導者留学したこともあり、小学生の翔を母・洋子さん(48)、兄・俊さん(22)と語学留学させた。プレミアリーグ・ウェストハムの下部組織に所属したが、言葉の壁に悩み、いじめも受けた。兄に続いて入学した富山第一では、途中出場した2年前の県大会決勝でシュートがポストに阻まれて全国切符を逃した。ネット上では「親のコネ」と批判を受け「翔にかわいそうな思いをさせてしまった」と指揮官。選手投票で翔が主将になってからは、父はあえて息子を怒られ役として厳しい言葉を浴びせた。「2人とも2年前の県決勝で悔しい思いをした。やっと実力を証明できた」。翔は笑顔を見せた。

 苦難を乗り越えた大塚父子が大輪の花を咲かせ、聖地・国立は幕を下ろした。それでも、関西学院大に進学する翔には夢の続きがある。「これから父がいない場所でのサッカーが始まる。プロに入りたい。父から学んだことを生かしていきたい」。日本一の孝行息子はきっと、新しくなった国立競技場に戻ってくる。

 ▽富山第一 1959年創立の私立校。サッカー部のOBに元日本代表FWの柳沢敦(仙台、写真)らがいる。スポーツが盛んでラグビーやバレーボール女子も全国大会の常連。野球部は昨夏に甲子園初出場でベスト8入りした。所在地は富山市。

続きを表示

この記事のフォト

「サッカーコラム」特集記事

「久保建英」特集記事

2014年1月14日のニュース