×

桐光 絆の16強!昨夏急死、大西さんを背番19で登録 

[ 2014年1月3日 05:30 ]

<高校サッカー 高知商・桐光学園>昨年8月に亡くなった大西健太さんの遺影とユニホームを持って感極まる桐光学園イレブン

全国高校サッカー選手権

(1月3日)
 2回戦16試合が行われ、前回4強の桐光学園(神奈川)は高知商(高知)を1―0で下し、目標の全国制覇へ向けて好発進した。前半14分にMF蔭山裕之(3年)が決勝ゴールを挙げた。今大会は昨年8月に死去したチームメートの大西健太さん(享年18)を背番号19で登録。亡き友とともに初優勝へ突き進む。市浦和(埼玉)は初芝橋本(和歌山)を3―2で破った。

 亡き友の存在が桐光イレブンの背中を押した。前半14分、FW小川のシュートはGKに阻まれたが、走り込んでいた蔭山が体ごとゴールに飛び込んだ。「どんな形でも点が取りたかった。あのユニホームを見て、もっと走らないといけないと思った」と蔭山。昨年8月16日に大西さんが急死。普段の練習から写真とユニホームをベンチに飾り、今大会は生前つけていた背番号19に大西さんを登録した。決勝点への大きな力になった。

 突然の訃報だった。OBで横浜の元日本代表MF中村に憧れて栃木県宇都宮市から入学した大西さんが6月中旬に風邪に似た症状を訴えて入院。血球貪食症候群と診断され、闘病生活に入った。練習の合間にイレブンはこまめに見舞って仲間を鼓舞し続けたが、わずか2カ月後に帰らぬ人となった。石川県で夏合宿中だったチームは急きょ宇都宮に向かって通夜に参列。「あいつを国立に連れて行く」と誓った。志半ばで倒れた仲間のためにも、初戦でつまずくわけにはいかなかった。

 25人の登録選手の中に大西さんを入れることは、貴重な戦力の一人を失うことを意味する。それでも、就任1年目の鈴木監督は「賛否両論あるが、19番は彼を入れると迷いなく決断した」と意志は固かった。県大会を戦い抜いた直後には、大西さんの実家を訪れ、家族にベンチ入りを伝えていた。観戦に訪れた大西さんの父・登さん(50)は「(3年生)13人の心の中には健太がいる。(亡くなった)あの日からずっと息子のことを思ってくれてうれしい」と感激した。

 全員が泥臭く走るのがスタイルだが、初戦の緊張で持ち前のハードワークは消えた。県大会から無失点を継続したが、指揮官は「こんなゲームでは大西も怒っている」と注文を付ける。3日の3回戦は四日市中央工と対戦。次は亡き友に恥じない試合を見せる。

 桐光学園は天皇杯で優勝した中村からも刺激を受けた。同校で中村の1学年上だった鈴木監督は元日の天皇杯決勝をテレビで観戦するようイレブンに指示。先輩の雄姿を目に焼き付けた蔭山は「リーグ戦で優勝できなかったけど、切り替えて天皇杯で優勝するメンタルは凄い」と力に変えた。大西さんが亡くなった後の昨年9月にグラウンドを訪れた中村は「こういう時にチーム一丸にならないといけない」と助言。96年度大会で準優勝に終わった先輩のためにも、最後の国立で頂点を狙う。

 ▼高知商・松本監督 選手は能力を出し切った。桐光学園の守備が堅かった。

続きを表示

この記事のフォト

2014年1月3日のニュース