×

広島 連覇残った 引退中島の思い背負い青山V弾

[ 2013年12月1日 05:30 ]

<広島・湘南>前半36分、ゴールを決める広島・青山(左)

J1第33節 広島1―0湘南

(11月30日 Eスタ)
 閉ざされかけていた連覇への扉を、執念でこじ開けた。前半36分。広島のMF青山がペナルティーライン付近で右足を鋭く振り抜いた。逆サイドのネットに突き刺さる決勝点。鮮やかな今季3点目に「まぐれっす」と謙遜したが、負ければ終戦の戦いで最終節に望みをつなぐ勝ち点3を積み上げた。

 優勝のためはもちろん、青山には負けられない理由がもう一つあった。5年間一緒に戦ってきたMF中島浩司(36)が今季限りで引退を表明した。中島が加入した09年にはダブルボランチとしてプレー。「2人とも攻撃的というか、チャレンジ精神があり、攻撃サッカーを体現できたので楽しかった。自分が伸びた時期だし、ナカジ(中島)さんには感謝しかない」と振り返る。ゴール後には青山をはじめ選手10人がピッチに横たわり、先輩の背番号35を人文字で表すパフォーマンス。直後にはベンチに駆け寄って抱擁を交わし「気持ちを伝えられて、勝てて最高です」とあふれる喜びを口にした。

 価値ある1勝はもぎ取ったが、まだやるべきことがある。勝利の立役者は、連覇を期待する2万7000人超のサポーターに向けて堂々と宣言した。

 「アップの時から、ナカジさんのことを思って泣きそうだったけど、まだ泣きません。優勝して泣きましょう!」

 連覇には勝たなければならない状況は次節も変わらない。そして、首位の横浜が引き分け以下という条件が必要になる。劇勝の余韻を封印して表情を引き締めた青山は「とにかく鹿島に勝つこと。その上で自分たちの思いが他の会場に届いてくれれば。優勝して、みんなでナカジさんを笑顔で送り出したい」と力を込めた。この言葉はチームメート全員の思い。一つになった紫の戦士が「奇跡」を起こす。

続きを表示

2013年12月1日のニュース