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磐田の凋落…悲劇は突然やってきたのではない

[ 2013年11月11日 11:00 ]

磐田 J2降格決定

 磐田の凋落(ちょうらく)はこの一年で始まったものではない。過去5年を見れば2桁順位は4回。08年には仙台との入れ替え戦の末、かろうじて残留したように、近年は常に降格の危機にさらされていた。黄金期を支えた名波浩氏、中山雅史氏らの退団、引退後のチームの迷走は、磐田が世代交代という大きな波を乗り切れなかったことを意味する。

 今季は各ポジションに代表クラスの選手をそろえながら開幕から7戦未勝利とクラブワーストを更新。5節以降、降格圏内を一度も抜け出せない状況でも「力のある選手はいる」(服部GM)と補強に消極的だった。6月から経験豊富な関塚隆監督を招いたが、主な補強は所属チームで出場機会を失っていたカルリーニョスと安田の2人にとどまった。

 エース前田の不振も響いた。自身がリーグ戦初得点を挙げた相手が6年連続でJ2に降格するという「デスゴール」が全国で騒がれてナーバスになり、クラブ関係者が地元報道陣に「パフォーマンスに影響が出る可能性がある」と異例の自粛要請。5節・浦和戦で前田は初得点したが、31試合で前田のゴールが勝利につながったのは9月の柏戦1試合にとどまった。

 巻き返しを図る来季だが決定的要因を見いださねば再びJ1に返り咲くのは難しい。高比良社長は「代表クラスの選手もいる。練習に集中できる環境もある。スタジアムも新しくなるし、優秀な指導者もいる。これ以上何をすれば変わるのか」とこぼすなど意識は変わらない。再建への道のりは険しいと言うしかない。

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2013年11月11日のニュース