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なでしこ 東アジア杯3連覇ならず…残った3つの課題

[ 2013年7月28日 06:00 ]

<韓国・日本>後半、シュートを放ち転倒する宮間(手前)

東アジア杯最終戦(女子) 日本1-2韓国

(7月27日 ソウル蚕室)
 なでしこジャパンが3連覇を逃した。勝てば優勝だった韓国戦で、前半14分にFKを直接決められ、後半22分にも失点。同28分に大儀見優季(26=チェルシー)が今大会初ゴールを決めたが1―2で苦杯。アジア勢相手では10年女子アジア杯のオーストラリア戦以来の黒星となった。1勝1分け1敗の勝ち点4で2位に終わり、北朝鮮が2勝1分けの勝ち点7で初優勝した。11年W杯で世界の頂点を極めた女王に課題が浮かび上がった。

 赤く目を腫らした主将の宮間は伏し目がちだったが、言葉には怒気を含んでいた。「まず代表としてあるべき姿なのか見直すべき。本当に駄目です。全員が勝つためにチームのためにやったかと言えば、そうではなかったし、チームになれなかった。負けて当然とも思う。世代が違えば向く方向が違うのは当然だが、全員が勝つためにやったと言えるのか」。特に若手に向け、世界女王としてあるべきメンタリティーを求めた。

 FIFAランク3位の日本が16位の韓国に敗れるのは08年5月29日のアジア杯以来。11年W杯を制した女王が東アジア杯3連覇を逃した。連覇を狙う15年W杯、来年5月の女子アジア杯を兼ねたW杯予選(ベトナム)へ戦力、戦術面でも課題が浮き彫りになった。

 (1)両サイドバック(SB)離脱 鮫島と近賀の左右SBの負傷離脱が続く中、6月の鳥栖合宿では両サイドで計8人を試したが、メドは立たず。右の代役として力をつけてきた有吉が中国との第1戦で負傷すると、2戦目は山崎、3戦目は中島を起用。しかし、左で今大会初先発した上尾野辺を含めいずれも本職ではなく効果的な攻撃はできなかった。

 (2)澤不在 今大会は現状のベストメンバーをそろえた。そんな中で丸山は「精神的支柱(の澤)がいない中でどれだけできるか」と漏らしていたが、不安は的中した。佐々木監督が「チームが主導権を握ったときに彼女は決定力があるし、守勢のときには一つのプレーで鼓舞できる」と評価する大黒柱の不在が響いた。

 (3)底上げの失敗 日本は次世代の台頭が遅れている。アルガルベ杯で初招集された若手の中で、今大会に出場したのは山崎のみ。戦力の底上げを図りたい一方で、W杯王者として結果を求められる現実があるとはいえ、旧メンバーを軸にしながらタイトルを逃した。指揮官は「何人か若い選手が経験を積めたことは次につながる」と前を向いたが、大胆な若手抜てきはなく、中途半端な印象は拭えない。

 中2日だった韓国に対し、中1日の過密日程だった。佐々木監督は試合後「結果が出なかったのは監督の責任」としながらも「でもあと一歩。あとは決定力の部分」と話した。確かに終盤は猛攻で韓国ゴールを何度も脅かした。しかし、優勝を逃したのが現実。9月に日本で2試合を戦う親善試合ナイジェリア戦から再建への戦いが始まる。

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