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1年後のW杯本大会へ…名波&小倉&城氏が最終予選を分析

[ 2013年6月5日 11:08 ]

<日本・オーストラリア>プレーする長谷部

W杯アジア最終予選B組 日本1―1オーストラリア

(6月4日 埼玉)
 W杯出場を決めたザックジャパンのアジア予選の戦いぶりを検証する。貢献度の大きかった選手は誰か。1年後の本大会に向けて克服すべき課題は何か。スポニチ本紙評論家で元日本代表の名波浩、小倉隆史、城彰二の3氏が鋭い視点で迫った。

 城 PKはど真ん中だった。精度の高いキックを持つ本田なら普通は隅を狙うはず。極限のプレッシャーだったのだと思う。勝てなかったがブルガリア戦とは見違える内容だった。本田と岡崎が入っただけでこれほど変わるのかという印象だ。本田がためをつくることで攻め手が増えた。岡崎は斜めに走りDFの裏を突き内田の上がるスペースをつくっていた。

 小倉 最後までハラハラした。W杯予選は内容より結果が大事だから最低限の合格点。失点はボールの出どころへの寄せの甘さが原因。川島の跳び方にも問題があった。後半、運動量が落ちた相手を崩しきれなかったのも反省点だ。

 名波 1試合を残してW杯出場を決められた要因はスタートダッシュ。ここまでを振り返ると、今野の安定感が光っていた。ラインコントロール、カバリング、予測など、経験に裏打ちされたものを出していた。

 小倉 岡崎の存在感も際立っていた。足元で受けるタイプが多い中に、DFの裏を取れる岡崎が入りバランスが良くなっている。運動量が多く、何度も動き直してパスを引き出している。

 城 遠藤、本田の貢献度も大きかった。ただ攻撃は本田頼みになっているのではないか。本田がためをつくり、サイドが上がり、裏を突くのがこのチームのやり方。だが本田がいないと機能しない。本来FWが担う役割を本田が補っている。FWにそういう選手がいればボールを収める場所が2カ所できて攻めが多彩になる。鳥栖の豊田ならためをつくれるしテストする価値がある。

 小倉 ボランチの遠藤、長谷部も代えが利かない。レベルが高くなるほど、サッカーを熟知し、気の利いたポジショニングができるボランチが必要。控えには細貝、高橋がいるが、遠藤、長谷部を脅かす存在とは言えない。W杯で8強以上を目指すなら控えのレベルアップが課題だ。

 城 香川はもっと活躍できるはず。彼が最も生きるのはペナルティーエリア内。ゴール前に入った時のスピード、テクニックはトップクラス。チームとして香川がゴール前で勝負できる形をつくりたいところだ。

 名波 3―4―3をどこまで引っ張るのかもポイント。3―4―3は拒絶反応を示す選手もいる。オプションが欲しいなら4―4―2をテストしてもいい。

 小倉 3―4―3のキーはサイド。サイドのカバリング、ボランチとの連係など独特の役割が求められる。代表では内田、長友が務めているが、合宿など短期間でマスターするのは難しい。選手の組み合わせを変えてオプションを増やす手もある。C大阪の柿谷ら調子の良い選手を試してみるのも面白い。

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