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大久保2発「父思い出した」死去から3試合目で初得点

[ 2013年5月26日 06:00 ]

<川崎F・新潟>後半35分、決勝ゴールを決めた川崎F・大久保はサポーターの前で喜ぶ

J1第13節 川崎F2-1新潟

(5月25日 等々力)
 川崎FのFW大久保はゴールネットを揺らすまで無心だった。喜びが体を包んだ後、自然と頭に浮かんだのが父の顔だ。

 後半9分、大久保がこぼれ球を押し込んで先制点を挙げると、1―1の後半35分だ。スペースへと走り込み、中村から絶妙なスルーパスが来た。「決めてくださいというパスでドキドキした。決められてホッとした」。右足の切り返しでDFをかわすと、GKの動きを見定め、左足でゴールに流し込んだ。勝負を決めた一発だった。

 父・克博さん(享年61)が12日に死去してから公式戦3試合目で初めて得点した。「早く取りたいと思っていた。喜んだ後に(父を)思い出しました」。サッカー経験はないが小学生の頃、ボールを蹴ってくれた父。内臓疾患を患い約8年の闘病期間中にも、小康状態の時には外泊許可を取り試合を観戦してくれた。誰より活躍を楽しみにしてくれた最愛の人にささげたゴールだった。

 父からは生前「また日本代表に入れ」と言われていた。大久保は12年2月のアイスランド戦を最後に代表からは遠ざかっている。23日に発表された6月4日のW杯アジア最終予選オーストラリア戦のメンバーにも選ばれなかった。それでもこの日、視察に訪れたザッケローニ監督の前で2得点。「結果を出せば見ていてくれる。やり続けていきたい」と復帰に意欲を示した。目指すは来年のW杯ブラジル大会。初めてW杯を意識したのは父とテレビ観戦した94年の米国大会。10年南アフリカ大会に続く連続出場は父と自身の夢でもある。

 チームは5月の公式戦を7戦負けなしで締めくくった。大久保自身も今季の得点を8に上積みした。節目の通算100ゴールにもあと3。勝利に導くため、そしてW杯への道を切り開くために、エースがゴールを量産する。

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2013年5月26日のニュース