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古巣破る決勝弾!興梠の“浦和記念日”はJ20周年マッチだ

[ 2013年5月12日 06:00 ]

<浦和・鹿島>後半33分、浦和・興梠は勝ち越しゴールを決め喜ぶ

J1第11節 浦和3―1鹿島

(5月11日 埼玉)
 開幕から20周年を15日に控え、「Jリーグ20周年記念試合」として埼玉スタジアムで行われた一戦は、浦和が3―1で鹿島を下して3位に浮上した。オフサイドの位置にいたようにも映る“疑惑”の判定だったが1―1の後半33分、FW興梠慎三(26)がヘディングで古巣相手に決勝点。リーグ戦4試合ぶりの勝利に導いた。

 運が味方した。1―1の後半33分、梅崎からのクロスを興梠が頭で押し込んだ。パスが出た時点でオフサイドの位置にいたように見えたが、主審はゴールの判定。「オフサイドかなと思って副審を見たけど旗が上がっていなかった。ラッキー」。古巣から決勝点。誇らしげにサポーターに向かって胸のエンブレムを掲げ「今までしたことがない」というキスをした。浦和の一員になれた、と実感した瞬間だった。

 追い詰められていた。今季エースの期待を背負い鹿島から加入したが、ここまで9試合1得点。「サポーターの人は良い目で見てくれていないと思う」と吐露したこともあった。さらに開幕前に「鹿島戦で得点する」と宣言していた手前もあった。移籍の際、あいさつすらできなかった鹿島サポーターに対して恩返しもしたかった。さまざまな思いを抱えていた一戦。前半27分には警告を受け、DF岩政らに削られて空回りするプレーが続いた。

 救ってくれたのは「いつも通りで良い。落ち着け」というペトロヴィッチ監督の言葉だった。冷静さを取り戻した後半は持ち前の動き出しの速さでチャンスを演出し、最後は運を引き寄せた。

 Jリーグが開幕した20年前、6歳だった興梠はサッカーすら知らなかった。生まれ育った宮崎県は野球が盛んな地。サッカーを始めた小学6年生時は20周年記念試合で自分がピッチに立つことなど想像もできなかった。

 だが今は日本サッカー界を支えている一人という自負がある。スタジアムには4万6000人以上が詰め掛け、選手を鼓舞する歌声が途切れることはない。93年に開幕したJリーグは「サポーター」という言葉を日本に浸透させた。試合後の恒例となった「Tシャツ」パフォーマンスでは“祝20周年!Jを世界最高峰リーグにしよう”とのメッセージを熱狂的なファンに送った。先人たちの努力に感謝しつつ、次なる歴史を担う覚悟を示した。

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