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栄華今や昔…なぜ??どこ“伊”ったあの強さ

[ 2013年4月16日 06:00 ]

 かつて世界最高峰と称されたセリエAの凋落(ちょうらく)が止まらない。昨季国内リーグを無敗で制したユベントスがドイツ王者バイエルンMに欧州CL準々決勝で2戦合計0―4で完敗するなど、イタリア勢は欧州カップ戦で準々決勝までに全滅した。これで欧州CLは3季連続、欧州リーグは5季連続で4強入りしたチームはゼロ。カルチョ(イタリア語でサッカー)を取り巻く経済状況など、厳しい現状と弱体化の理由を探った。

 ユベントス指揮官の言葉は危機感にあふれていた。欧州CL準々決勝でバイエルンMに2戦連続零敗。10日の第2戦でホームで0―2と完敗した直後、コンテ監督は「セリエAのクラブは5年は優勝することができない」と警鐘を鳴らした。その背景にあるのが経済格差=戦力格差。「バイエルンは(選手獲得に)金を費やすことができるし、それが差となっている。バイエルンやバルセロナ、Rマドリード、パリSGなどメガクラブとの資金力の違いは大きい」と嘆いた。

 ユベントスもかつてはメガクラブだった。国際的な監査法人デロイトによるクラブの総収入ランクで、00~01年はマンチェスターUに次ぐ2位。しかし、11~12年は10位まで下落しトップ3とは倍以上の開きがある。リーグ全体の地位も低下し、トップ10は5チームから2チームとなった。

 地盤沈下の要因は、長引く不況による親会社の経営悪化や撤退、05~06年に発覚した八百長スキャンダルや観客の暴動による観客減少などが挙げられるが、イングランド、スペイン、ドイツの“トップ3”と比べ特に劣るのがスタジアムだ。ドイツが06年W杯を契機に近代化を進めたのとは対照的に、多くが90年W杯で拡張された施設。欧州のトレンドであるショッピングモールやホテルなどを併設し収益を伸ばす手法を取り入れているのは、11年完成のユベントス・スタジアムだけだ。

 モール併設の施設の完成でユベントスの入場料収入は約3倍に急増。他クラブもスタジアムを刷新したい意向はあるが、ほとんどの施設が自治体所有であることや資金不足などの問題があるため一朝一夕にいかない。施設老朽化で観客減→収入減→選手の質が低下→欧州での成績が低迷→賞金が減りさらに資金不足を招くというデフレ状態。その悪循環を抜け出す“アベノミクス”のような特効薬は見当たらない。

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2013年4月16日のニュース