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ゴン、サッカー人生を振り返る…98年は「中山マッシ」だった

[ 2013年1月5日 13:27 ]

ポーズを決める中山雅史氏

 昨季限りで現役を引退した元日本代表FW中山雅史氏(45)が、引退後初めて自身のサッカー人生について激白した。J1歴代最多の157得点を挙げた希代のストライカーは、自らをアルゼンチン代表FWメッシ(バルセロナ)になぞらえ「中山マッシ」と命名。後方に跳び上がるヘディングや、DFの視界から消える動きなどシュートの極意まで明かした。

 J1通算157得点は日本サッカー史に輝く金字塔。体を張った魂のゴールシーンは中山氏の代名詞だ。中でも後方に下がりながら跳び上がるヘディングの技術は今でも国内No・1と言われる。そこには裏話がある。

 「ヘディング(の打点)は高かったよね。あれ、今はどこに行ったんだろ(笑い)。体が下がりながらのヘッド(ができるの)は“エアジョーダン”を、下がりながらの3ポイントシュートをよく見てるからだよ」

 NBAの往年の名選手マイケル・ジョーダンからヒントを得ていたのだ。また中山氏のゴールで圧倒的に多いのが体を投げ出しダイレクトで決めるシュート。その瞬間は恐怖心が消えるという。

 「ツータッチだと、どこに行くか分からない。体を投げ打たないと決まらない。そこで行けるか行けないかの違い。ボールを追っかけてるとポストやGKは気にならない。それでケガするのなら仕方ない。それで生きてきた選手だから。ボールに触った後には“あっ怖い”ってなるけど」

 98年にはDFの視界から消え、スルーパスに反応する動きを確立させて、4戦連続ハットトリックを達成し、27試合で36得点をマークした。現代のバルセロナのメッシをほうふつさせる怒とうのゴールラッシュだった。

 「中山マッシだね。チーム(磐田)も熟成した時期だったし中盤から次々とボールが出てくる。あとは僕がどれだけ合わせるか、DFの裏に抜けるか。パスとキスは優しくしてほしいよね。あのころはスペースも見えた。まず僕が動くと空いたスペースに、また後ろの選手が入ってくるから動きがいがあったね」

 ゴン節は健在だ。だがピッチを離れると世間のイメージと違う「もう一人の中山」がいた。実は漫画喫茶にこもり、静かに過ごす時間が現役生活を支えていたという。

 「例えば(ゴルフ漫画)“風の大地”。途中でコラムがあって人生の教訓がある。メディアにコメントする上でも心を落ち着かせるという意味でも役立っていた」

 昨年12月4日の引退会見で区切りをつけたが、今後については未定だ。

 「よくここまでやれたというのと、まだできるという思いが混在している。真剣勝負に身を置く幸福感、あの舞台から降りるのは悔しいよね」

 ピッチに立つことはない。しかし岡崎(シュツットガルト)が、前田(磐田)がそのスタイルを継承している。不屈のゴン魂は生き続ける。

 ≪20日にスカパーで放送≫中山氏の全157ゴールを振り返るスカパー!「マッチデーJリーグEX」(スカチャン1)は20日午後9時から放送される。磐田時代の盟友である名波浩氏(本紙評論家)、鈴木秀人氏、服部年宏(J2岐阜)らも出演。名波氏は「高校(藤枝東)時代から見てるけどヘディングの技術は高い。フィジカルだけでなく動きに駆け引きがある。自分からアクションも起こせるし、リアクションもできる」と中山氏を絶賛していた。

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2013年1月5日のニュース