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岡崎 W杯王手弾「本能で突っ込んで生まれたゴール」

[ 2012年11月15日 06:00 ]

<オマーン・日本>後半44分、勝ち越しとなるゴールを決める岡崎

W杯アジア最終予選B組 日本2―1オマーン

(11月14日 マスカット)
 終了間際の劇的弾でW杯出場に王手をかけた。日本代表はアウェーでオマーンに2―1で競り勝った。FW岡崎慎司(26=シュツットガルト)が1―1の後半44分に左足で値千金の決勝弾。6月3日のホーム・オマーン戦以来のゴールで、香川真司(23=マンチェスターU)、内田篤人(24=シャルケ)を負傷で欠くチームを救った。日本は来年3月26日のヨルダン戦に勝てば無条件で、引き分けても他の試合の結果次第で14年W杯ブラジル大会出場が決まる。

 アウェーの過酷な環境の中、最高のエンディングが待っていた。お祭り騒ぎだった白装束の相手サポーターを、岡崎が沈黙させた。1―1の後半44分、左サイドを突破した酒井高のクロスに反応。ニアサイドで遠藤が角度を変えたボールに突っ込み、倒れ込みながら左足を突き出した。気温35度、湿度は47%。体力は限界に近づいていたが、執念でネットを揺らした。

 公式戦での得点は8月18日のドイツ杯Fフィンケンクルーク戦以来88日ぶり。国際Aマッチでは6月3日のオマーン戦以来164日ぶりのゴールだった。「最後まで自分たちのサッカーを貫いた結果。正直バテバテだったんで、ゴールが取れて良かった」。チームメートの手荒い祝福を受け、最高の笑顔を見せた。

 嗅覚がよみがえった。生粋のストライカータイプだが、日本代表やシュツットガルトではチーム事情もありサイドのMFが主戦場となっている。そんな中、最近1カ月はシュツットガルトの紅白戦でトップの位置に入る機会を多く与えられ原点回帰。相手を恐れずにゴール前に飛び込む感覚を取り戻し「FWとしての感覚が戻ってきた。本能で突っ込んで生まれたゴール」と劇弾を振り返った。

 後輩から刺激を受けていた。9月26日のホッフェンハイム戦で左足親指を骨折。日本がフランス、ブラジルと対戦した10月の欧州遠征には参加できなかった。離脱中に20歳の宇佐美(ホッフェンハイム)、19歳の高木(ユトレヒト)と会食する機会があり、若くして欧州でプレーする2人の姿に「俺も頑張ろうと思えた」と発奮。9月のケガの原因は試合中の宇佐美からのタックルだったが「それはたまたま」と後輩に対する気遣いも見せていた。

 努力でのし上がってきた。滝川二(兵庫)から05年に清水入り。当初はFW8人中8番目の評価で、Jリーグ初ゴールはプロ3年目の07年だった。そこから一気に日本代表まで駆け上がり、10年W杯南アフリカ大会の出場切符を獲得した09年6月6日の最終予選ウズベキスタン戦では決勝弾を記録。3年前と同様に日本をW杯に近づけるゴールを決め「アウェーの難しい環境で自分のゴールで勝てたのは自信になる」と胸を張った。5大会連続5度目のW杯出場に王手をかける大きな1勝。日本の裏側ブラジルがはっきりと見えてきた。

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2012年11月15日のニュース