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大儀見、意地の3戦連発「銀メダルは価値がある」

[ 2012年8月11日 06:00 ]

<日本・米国>後半18分、ゴールを決める大儀見(右)

ロンドン五輪 サッカー女子決勝 日本1-2米国

(8月9日 ロンドン)
 執念が凝縮されたエースの意地の一発だった。2点を追う後半18分。宮間のスルーパスを大野が中に折り返し、沢がシュート。DFに当たったボールは再び沢の左膝に当たり、こぼれ球を大儀見が左足で流し込んだ。チーム最多の5本のシュートで米国ゴールを脅かし続け「周りのみんなが自分を生かしてくれたことによって取れた点。信じてやってきたことは間違っていなかった。後悔という言葉はない」。夢に挑んだ90分間をすがすがしい表情で振り返った。

 大儀見の活躍なくして初のメダル獲得の快挙はなし得なかった。全6試合に出場。1次リーグこそ無得点だったが準々決勝以降は3戦連発。原動力になったのは、妹のFW永里亜紗乃(23=日テレ)への思い。07年から3年間日テレでともにプレー。亜紗乃も五輪代表候補だったが「姉妹で五輪で2トップを組みたい」という夢はかなわなかった。メンバー発表直後、電話で母・美智子さん(49)に「選ばれなかった選手の思いを背負って五輪で戦う。亜紗乃の分まで頑張るから」と伝えた。美智子さんは「今までそんなことを聞いたことがなかったので、少しビックリした。昔から自分は自分、みたいな性格だったので」と話す。

 金メダルを妹の首にかけることはできなかったが「この大会で積み上げてきたものは次につながる。銀メダルは価値がある」と胸を張った。昨年のW杯は旧姓の永里で金、今回は大儀見で銀――。ロンドンは通過点。「次のW杯、五輪と続いていく。まだまだ成長できる」。初のメダル獲得となった五輪は、なでしこが誇るストライカーをさらなる高みに導く大舞台だった。

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