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主将の重責果たした!宮間「仲間に感謝したい」

[ 2012年8月11日 06:00 ]

<日本・米国>試合後、沢(右)と抱き合う宮間

ロンドン五輪 サッカー女子決勝 日本1-2米国

(8月9日 ロンドン)
 こみ上げる思いをこらえきれなかった。いつも毅然(きぜん)と、仲間にも自分にも厳しい宮間が珍しく声を出し、肩を震わせて泣いた。それでも、大儀見に肩を抱かれピッチを引き揚げた後、口にしたのはやっぱり主将らしい言葉だった。

 「ここまで来られたことに、スタッフや自分の仲間に感謝したい。ありがとうの一言しかないです」。序盤から絶妙なスルーパスを供給し続け、前半33分には左足のシュートが惜しくもバーを叩いた。後半18分には走り込む大野の足元にパスを通し、大儀見のゴールの起点になった。その後も得意のFKで好機を演出。1メートル57の体で、大柄な米国DF陣を苦しめ続けた。

 その存在感はピッチの内外で際立っていた。五輪直前にはほとんど経験のない右MFにコンバートされた。1次リーグではらしくないプレーが続いたが「ミスが多いのは自分が一番分かっていますから」と一切言い訳をせず、準決勝のフランス戦で“2アシスト”をマークしチームを決勝の舞台に導いた。

 今年2月には沢から主将の重責を引き継いだ。「違う歩き方でもみんなが向かう方向が一緒ならいい」と高瀬ら控えの選手のちょっとした気持ちの変化に気づくと肩を叩いて話しかけた。沢には日付と対戦国を記入した手作りの五輪カレンダーをプレゼント。年齢やチーム内の立場にかかわらず気を配った。

 思い描いていたシーンがあった。4年前の北京五輪。3位決定戦に向かう朝、選手村の宿舎で決勝に挑む直前の女子ソフトボールチームと出会い健闘を誓いあった。なでしこはドイツに敗れ4位に終わったが、ソフトボールは金メダルを獲得した。テレビで見た優勝の瞬間に「みんなが上野さんのところに集まって、凄いいいなって…。きっといい雰囲気のチームだったんだと思う」とその姿に自分たちの未来を重ね合わせていた。試合後に「ピッチ内外で、トータルにやってくれたMVP」と称えた佐々木監督の言葉に全員がうなずいた。どこよりも固い結束でつかんだ銀メダル。それは金以上の輝きがあった。

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2012年8月11日のニュース