福元、飛んだ！守った！佐々木監督「神様に見えた」

＜フランス・日本＞好セーブを連発した福元（中）をねぎらう佐々木監督（右は岩清水）

ロンドン五輪サッカー女子準決勝 日本２―１フランス

（8月6日 ロンドン）
　ＧＫ福元が反応良く左に飛ぶ。後半２６分。ネシブの強烈なグランダーのシュートを倒れ込みながら左手１本で抑え込んだ。「絶対守ってやるという気持ちでした。手はむちゃくちゃ短いんですけど」。同３４分には、混戦から放たれたドゥリのシュートをパンチングではじく。防戦一方となった終盤、平均身長１メートル７０の高さを生かしてパワープレーに出た相手のシュートの嵐を、１メートル６５の小柄な守護神が体を張って防ぎ切った。

　「本当に長く感じたけど、みんなが足を止めず頑張ってくれた」。試合終了のホイッスルが鳴るとフィールドの選手は一斉に背番号１の元に駆け寄った。佐々木監督も「あの小さな福元が神様に見えたよ」と最敬礼で出迎えた。

　出場１１カ国のＧＫの平均身長は１メートル７３。１メートル７０台後半もざらにいる世界でサイズの小ささは致命傷になりかねない。北京五輪では準々決勝で米国に４失点、３位決定戦でドイツに２失点し、国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）のブラッター会長が日本協会の小倉会長（当時）に「日本には背の高いＧＫがいないのか」と皮肉を言われたのは有名な話だ。

　五輪直前合宿の集合日だった７月９日、福元は長年代表の守護神として君臨していた山郷と東京駅で会った。Ｗ杯優勝ＧＫの海堀とレギュラー争いをしている苦しい胸の内を明かすと「ノリさん（佐々木監督）は正ＧＫという位置づけをしないからコンディションを整えることが大事。福ちゃんらしく精いっぱいやっておいで」と背中を押された。

　後半３３分のＰＫは右に飛んだが、ブサグリアのシュートはゴール左に外れた。「思いっきり逆に飛んだんですけどラッキーでした」。気合勝ちだった。次は米国戦。「勝つか負けるかで全然違ってくる。いい準備をしたい」。１メートル７８のワンバックを筆頭にビッグなストライカーがそろうが、日本には福元がいる。