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大野、感謝の初ゴール!フランス戦は「ぶち抜く」

[ 2012年8月5日 06:00 ]

<日本・ブラジル>後半、ゴールを決めた大野(右)は宮間と抱き合って喜ぶ

ロンドン五輪 サッカー女子準々決勝 日本2-0ブラジル

(8月3日 カーディフ )
 大野は心地よい疲労感を覚えた。試合前に想定していた通り、守備に追われ、前線から走り回った。それでも、少ない好機を見逃さず自身の大会初得点をマークした。「みんなの気持ちが入っていた。みんなの得点です」。繰り返したのは感謝の言葉だった。

 1点リードの後半28分だ。大儀見からの左クロスを受けると一度切り返して左足を振り抜いた。ボールはバーを叩きながらネットに吸い込まれ待望の追加点となった。「得点を取れていなくて責任を感じていた。2人で取れて、やったね!という感じです」。大儀見とは北京五輪で2トップを組んだものの、あと一歩でメダルに届かなかった。雪辱を期した今大会、2人の決意がこの日の得点に凝縮されていた。

 生粋のストライカーが右MFへ転向したのは昨年のW杯直前。不慣れなポジションで力を発揮できず、同部屋の沢に泣いて愚痴をこぼしたこともあった。結局、W杯は1得点。悔しさをバネにこの1年はMFで新たな居場所を確立した。そんな矢先の五輪直前、戦術的な理由から再びトップに変わった。「(佐々木監督から)説明も何にもなかった」と苦笑いしながら振り返るが、大人になった28歳は前向きに受け入れた。この日、チームのピンチを未然に防いだ守備力はMFで苦労して身につけたもの。1年間は決して回り道ではなかった。

 決勝進出を懸けて当たるフランス戦。1メートル54の背番号11の前には、1メートル87の長身DFルナールが壁となって立ちはだかる。「1回挑戦してぶち抜いてみますか」

 それは小さなエースのゴール宣言だった。

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2012年8月5日のニュース