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なでしこ“計算通り”2位通過!金獲りへ米仏回避

[ 2012年8月1日 06:00 ]

<日本・南アフリカ>後半、ウオーミングアップ中に笑顔を見せる沢

ロンドン五輪 サッカー女子1次リーグF組 日本0-0南アフリカ

(7月31日 カーディフ)
 既に準々決勝進出を決めているF組のなでしこジャパンは1次リーグ最終戦で南アフリカと対戦し、0―0で引き分けた。第2戦までとスタメンを7人入れ替え、安藤梢(30=デュイスブルク)や丸山桂里奈(29=大阪高槻)らが先発。序盤からボールを支配したが、決定力を欠いた。カナダと2―2で引き分けたスウェーデンがF組1位。F組2位の日本は準々決勝(3日、カーディフ)でE組2位(英国かブラジル)と顔を合わせる。
【試合結果】

 誰の目にも攻撃の手を緩めたのは明らかだった。後半41分、相手選手の負傷で試合が止まった。そのころ他会場ではスウェーデンがカナダに2―2と追いつかれていた。突然、右サイドバックの近賀がベンチに呼ばれ、何やら指示を受ける。他の面々はピッチ上で円陣を組んだ。縦パス、ドリブルなど攻めの姿勢が消えたのは、その直後。DFラインで時間稼ぎのパス交換が増えた。

 試合前までスウェーデンと日本は勝ち点4で並び、得失点差で日本が2位だった。同時刻に始まった1次リーグ最終戦。1位スウェーデンがカナダに追いつかれたことで、日本は南アフリカに勝てばF組1位となる状況だった。だが「後半途中から向こう(他会場)の状況を加味して、ドローの方がいいと判断した」と佐々木監督。その権利を自ら放棄した。

 佐々木監督は狡猾(こうかつ)な策士と化した。戦前から2位突破に狙いを定めていた。F組2位なら準々決勝の会場は南アフリカ戦と同じカーディフで移動の負担がない。そして米国、フランスという強豪との対戦を回避できる。1位突破よりも金メダルを狙う上で好条件だ。なりふり構わぬ戦略を取った指揮官は「選手には“申し訳ない”と言った。テレビで見ている少年少女にも申し訳ない」と言った。

 選手起用も今後を見据えたものだった。「全ポジションの層を厚くする。いろんな選択肢を持てるようにしたい」と指揮官。先発メンバーは第2戦までと7人も入れ替えた。安藤、丸山、岩渕、高瀬らを送り出した。連係がかみ合わず無得点に終わったが、それも想定内。控え選手に経験を積ませ、疲労の見える主力を休ませた。目に見えない成果をつかみ取った。

 「ある意味、違った戦いがあった。いい条件を選手たちが勝ち取ってくれた。せっかく指示通りやってくれたから、次の準々決勝は(勝って)何が何でも4強に進みたい」。準々決勝以降は延長戦も視野に入れた総力戦だ。悲願の金メダル獲得のためなら喜んで勝利を放棄する。大胆かつ狡猾な作戦で2位突破を勝ち取ったなでしこジャパンが万全の態勢でVロードを突き進む。

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