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復興のデルピエロ弾!志願の“時間延長”で魅せた

[ 2012年7月22日 06:00 ]

後半、2点目のゴールを決めたデルピエロ(左)はチームメートと喜び合う

 東日本大震災復興支援のJリーグスペシャルマッチが21日、カシマスタジアムで行われ、Jリーグ選抜と対戦した「TEAM AS ONE」のメンバーとして出場した元イタリア代表FWアレッサンドロ・デルピエロ(37)がファンタスティックなプレーを披露。1―0の後半25分に左足でゴールを決めるなどファンを魅了した。試合は4―0でTEAM AS ONEが勝った。

 カルチョの国が生んだ希代のファンタジスタが魅せた。1―0の後半25分、右サイド約20メートルのところから、デルピエロが左足を振り抜くと、ボールは激しく揺れてゴールネット左に突き刺さった。逆を取られたような格好になったGK菅野は「無回転気味でちょっと相手に当たった」とボールの行方をただ見ているしかなかった。

 「疲労も忘れるくらい素晴らしい夜だったね」。2泊4日の強行軍にもヒーローはすがすがしい笑顔で試合を振り返った。

 ファーストプレーからファンの心をつかんだ。前半4分にゴール中央でボールを受けると、右足の柔らかいタッチで柳沢にスルーパス。シュートはGKに阻まれたが、かつてセリエAのメッシーナでプレーした柳沢の特長を熟知しているかのようなパスに、スタンドはどよめきに包まれた。

 自他共に認める親日家。この日の会見では、小学校の地理の試験で日本を選択したことを明かし「その頃からシンパシーを感じている。日本は大好きな国だよ」。96年には欧州王者としてトヨタ杯に出場し、自らの得点でリバープレート(アルゼンチン)を撃破。ユベントスを世界王者に導いた。オフにはお忍びで日本を訪れることもあったようで、前日は都内で日本食を堪能したという。

 だからこそ、第二の故郷と言ってはばからない日本の大震災に心を痛めた。震災直後に慈善プロジェクトを立ち上げ、オリジナルTシャツを作製。赤十字社を通じ約2400万円を寄付した。今回の出場オファーにも「二つ返事でOKした」。専属トレーナーとともに来日し、本来は後半10分までの出場だったが、志願して31分までプレーした。

 来季の所属先は未定だが「それもこの試合に出られるための運命だね」。ベストコンディションでない中での全力プレーは、間違いなく被災地にも届いたはずだ。

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