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清武、惜別弾ならず「緊張してガチガチだった」

[ 2012年7月1日 06:00 ]

<C大阪・浦和>試合後、イレブンから胴上げされるC大阪・清武

J1第16節 C大阪1-1浦和

(6月30日 長居)
 フィナーレを鮮やかに締めくくることはできなかった。3万6723人の大観衆がつめかけたC大阪でのラストマッチ。勝利を置き土産にしようと序盤から積極的に仕掛けるMF清武だが、徐々に存在感が薄れていく。シュートわずか1本。後半36分に公式戦4戦連続となる途中交代を告げられ、不完全燃焼のままピッチを去ることになった。

 「久々に緊張してガチガチだった。足が地についていなかったし…。(柿谷)曜一朗が最後に決めてくれて良かった」

 エースの重圧と戦い続けた半年間だった。森島氏、香川と受け継がれてきた、チームの象徴ともいえる背番号8を身にまとった今季。例年以上の高いモチベーションとは裏腹に、自身のプレーは精彩を欠く状態が続いた。「ちょっと考えすぎちゃっているかな…」。厳しい状況を打破できず、人知れず苦しみを口にすることもあった。

 ただ、拾ってくれたクラブに恩返しをしない訳にはいかなかった。ジュニアユースから育ってきた大分がJ2降格を強いられた09年オフ。クラブの厳しい財政状況などもあって移籍必至となった中で、真っ先に、そして唯一正式に獲得オファーを出してきてくれたのがC大阪だった。日本代表入りを果たすなど、驚異的な成長を見せたこの2年半。一人前に育ててくれたクラブに感謝の思いでいっぱいだった。
 
 その気持ちを最終戦で体現することはできなかったものの、終了間際に柿谷が同点弾を挙げるとベンチから真っ先に飛び出して喜びを爆発させた。試合後のセレモニー。真梨子夫人らから花束を受け取ると、スタンドから両親やサポーターが見つめるなかで大粒の涙を流した。

 「セレッソを離れるのは寂しいけど、また向こうで、一人でしっかりと頑張りたい」。新天地ニュルンベルクでプレーするため、1日にドイツへ渡る日本代表MF。同僚に7回の胴上げで送り出された22歳が、ラストマッチでの悔しさを胸に新たな挑戦へと旅立つ。

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