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1点リードでは足りない…世界基準と違う“アジアの笛”

[ 2012年6月13日 15:35 ]

<オーストラリア・日本>後半、清武(右)とともにサイドを駆け上がる酒井

 W杯アジア最終予選の序盤3戦を2勝1分けの勝ち点7で乗り切った日本。ブラジルに向けて上々のスタートを切ったザックジャパンを、スポニチ評論家の元日本代表監督・加茂周氏(72)と元日本代表MF名波浩氏(39)が分析した。指揮官と選手としてW杯最終予選を戦った経験も生かし、3試合で見つかった収穫と課題、今後の展開などにも言及した。

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 加茂 敵地でオーストラリア相手に1―1は悪くない結果だった。

 名波 確かに勝ち点2を失ったというより、次へつながるポジティブな勝ち点1。この1点が後々に効いてくると思う。

 加茂 悪いピッチに慣れるまでは慎重でミスもあったが、その後はボールをつないで攻め込めた。ただフィニッシュで個人、連係ともに磨く部分はある。

 名波 守備では、カーヒルとアレックスという空中戦に強く、運動量があるやっかいなFW2人をよく抑え込んで、決定的な仕事はさせなかった。

 加茂 反省点は10人の時間帯に2点目が取れなかったこと。私の経験からしても敵地での判定は信用できないので、1点リードだけでは安心できない。

 名波 内田のPK、栗原の退場、最後は日本にFKを蹴らせず終わったように、判定は“アジアの笛”だった。世界基準とは違うということを今後も注意する必要がある。

 加茂 最初の3戦で勝ち点7は上々の滑り出し。ホームの2試合で得点を稼げたのは、最後に得失点差で生きてくる可能性もある。

 名波 選手は勝ち点9、失点0を目標にしていたようなので試合後は不満顔だったが、勝ち点7は合格点だと思う。

 加茂 3試合での収穫は、選手間の距離が良い時にはどんな相手でもパスをつなげると示せたこと。特に相手陣でよりゴールに近い位置でボールを奪えた時はすごく良かった。

 名波 立ち上がりから主導権を握って、コンパクトに高い位置から仕掛ける攻撃の姿勢を評価したい。また、オーストラリア戦で“パワー系”のシンプルな攻撃を体験できたのは今後につながるはず。

 加茂 9月のイラク戦までの3カ月で、それぞれがクラブで少しでも成長することが重要。ただ今のサッカーを徹底していけば、イラクに負けることはない。

 名波 イラクで要注意選手は、07年に優勝したアジア杯でMVPと得点王を獲得したFWユーニス・マフムード。1メートル85と高さがあり、体の使い方もうまい。

 加茂 今後期待したいのは宮市、清武。それぞれチームで定位置をつかんで経験を積んでほしい。

 名波 香川(マンチェスターU)、清武(ニュルンベルク)、酒井宏(ハノーバー)ら新天地組に注目したい。試合に出られない場合はコンディションを落とす危険性もあるが、新しいチームでさらに飛躍してほしい。

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2012年6月13日のニュース