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栗原 2戦連発も…まさかの退場「2度ビックリ」

[ 2012年6月13日 06:00 ]

<オーストラリア・日本>先制ゴールを決めた栗原(左から3人目)に駆け寄る日本イレブン

W杯アジア最終予選B組 日本1-1オーストラリア

(6月12日 ブリスベーン)
 悲喜こもごもの89分間。栗原劇場は「明」と「暗」が混在していた。苦しい場面で貴重な先制点を叩きこんだが、最後までピッチにいることができなかった。「点を取ったり退場したり。いろいろあった試合。勝てれば良かったが、引き分けでは満足できない」と悔しい思いをかみ殺した。

 前半19分は捨て身の守備。自陣ゴール前のルーズボールを、倒れ込みながら左足でバーの上へ蹴り出した。後半20分には主役の座を奪取した。右CKから本田が中央へクロス。岡崎がつぶれ役となるとファーサイドに位置した栗原が押し込んだ。「ほとんど圭佑(本田)の点と言っていいくらい、いいボールが来た。大事な時間に点を取れて良かった」。最終予選ではDFとしては初の2戦連発。吉田の負傷により回ってきたアゼルバイジャン戦以来、3試合ぶりの先発に躍動した。

 3年越しの思いを抱えていた。10年W杯南アフリカ大会では、メンバー選考の最終テストだった同年4月7日のセルビア戦で先発。だが、結果を残せず落選となった。実は左太腿を負傷するなど、大きなハンデを背負っていたが、言い訳はしなかった。「こんなに叩かれるとは思わなかった」。翌日のスポーツ各紙を見て思わず本音をもらしたが、悔しさを心にしまい、レベルアップを図った。「もっと得点が取れる選手になりたい」。本職の守備はもちろん、セットプレーの得点源としてチームに貢献できる選手を目指して練習に励み、進化した姿をW杯最終予選の大事な一戦で見せつけた。

 劇場は最後に暗転した。後半44分、相手FWアレックスを倒し、この日2枚目のイエローカードで退場となった。「(相手の)オフサイドだと思ったらファウルでビックリ。さらにカードも出て2度ビックリした」。ぼう然自失でピッチを後にするしかなかった。9月のイラクとの第4戦(埼玉)は出場停止となり、吉田も復帰する。つかみかけた定位置を明け渡すが、このまま幕を下ろすわけにはいかない。

 ≪1次予選で柱谷以来≫DF栗原が2試合連続ゴール。DFのW杯予選2試合連続得点は94年米国大会1次予選で柱谷哲二がスリランカ戦、UAE戦(93年4月15、18日)で記録して以来史上2人目。最終予選では初。

 ≪W杯予選で5人目の退場≫栗原が後半44分に2度目の警告を受けて退場。日本代表の退場者は11年1月21日のアジア杯準々決勝カタール戦の吉田以来、通算20人目(23回目)。W杯予選では10年南アフリカ大会最終予選ウズベキスタン戦(09年6月6日)の長谷部以来、通算5人目。

 ◆栗原 勇蔵(くりはら・ゆうぞう)1983年(昭58)9月18日、神奈川県生まれの28歳。原FC、マリノスジュニアユース、同ユースを経て、02年にトップチーム昇格。5月3日の浦和戦でJ1通算200試合出場を達成。代表デビューは06年8月9日のキリンチャレンジ杯トリニダード・トバゴ戦。国際Aマッチ通算12試合2得点。好きな言葉は「WIN」。血液型A。1メートル84、80キロ。

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