×

宮市ショック 同僚が試合中に突然倒れ心肺停止

[ 2012年3月19日 06:00 ]

トットナム戦で、突然倒れたムアンバの治療を見守るボルトンの宮市(奥)

FA杯準々決勝 ボルトン―トットナム

(3月17日 ロンドン)
 ボルトンの日本代表FW宮市亮(19)の同僚が試合中に心肺停止になるというショッキングな出来事が起こった。17日、英ロンドンで行われたFA(イングランドサッカー協会)杯準々決勝トットナム戦で、1―1の前半41分にMFファブリス・ムアンバ(23)が突然倒れ、病院に搬送されて重体。試合はそのまま中止となった。右MFで先発していた宮市をはじめ、サッカー界に衝撃が走った。

 突然の悲劇に誰もが言葉を失った。宮市とともにボルトンの中盤でプレーしていたムアンバが前半41分、センターサークル付近で何の前触れもなく前のめりに倒れた。うつぶせのまま体を動かせず、選手たちが必死の形相でドクターを呼ぶ。両チームの選手が深刻な表情で取り囲む中、ピッチ上では約10分間、心肺蘇生処置が行われ、その後ロンドン市内の心臓発作の治療施設に搬送された。クラブは18日に公式サイトで「試合中に心停止となり、病院で再び動きだした」と発表したが、依然として危険な状態が続いているという。

 宮市も動揺を隠せなかった。1月にボルトンに移籍してから、ボランチのムアンバとは中盤でコンビを組むことが多かった。ともに元アーセナルという共通項もあった。ピッチ上で治療が行われるのを目を真っ赤にしながら見つめ、ぼう然とピッチ上に立ち尽くすしかなかった。スタッフに肩を抱かれながらピッチを後にして、試合はそのまま中止に。選手のメンタル面を考慮したのか、20日に予定されていたリーグ戦のアストンビラ戦も延期となった。

 かつてU―21イングランド代表で主将を務め将来を嘱望されている若きスターに、サッカー界からは無事を願う声が続々と届けられた。元同僚のアーセナルFWファンペルシーは「本当に悲しい。一緒にプレーしたが、いつも笑顔を忘れない素晴らしいヤツだ」とツイッターでコメント。海外でも、ユベントスのMFピルロが「彼は仲間だ。早く良くなるよう祈っている」と、この日のフィオレンティーナ戦の勝利をムアンバにささげた。

 17日深夜に搬送先の病院前で英スカイスポーツのインタビューに応じたボルトンのコイル監督は「深刻な状況。これから24時間の対応が極めて重要になる」と説明した上で「彼の幸運を祈るたくさんの気持ちを受け取った。みんなが強い気持ちで祈れば峠を越して回復してくれると願いたい」と教え子の無事を祈った。ムアンバは、1児をもうけたシャウナさんと先月14日に婚約したばかり。家族のためにも、早く元気になることを誰もが願っている。

 ◆ファブリス・ムアンバ 1988年4月6日、ザイール(現コンゴ)生まれの23歳。内戦の影響で11歳の時に家族とともに英国ロンドンへ移住。アーセナルの下部組織から05年にトップチームへ昇格。06年にバーミンガム、08年にボルトンへ移籍。昨季は公式戦41試合1得点。U―16からU―21まで年代別のイングランド代表。1メートル88、78キロ。

続きを表示

2012年3月19日のニュース