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“プールの監視員”弾!菅沢初ゴールでなでしこ連勝

[ 2012年3月3日 06:00 ]

<日本・デンマーク>後半7分、スライディングシュートで先制点を決める菅沢

アルガルベ杯 日本2-0デンマーク

(3月2日 ポルトガル・パルシャル)
 なでしこジャパンはデンマークに2―0で快勝し2連勝を飾った。初戦ノルウェー戦から先発を8人入れ替えて臨み、後半7分にFW菅沢優衣香(21=新潟)が、DF近賀ゆかり(27=INAC神戸)のクロスを右足で合わせて決勝弾。代表初ゴールで生き残りに向けて鮮烈にアピールした。代表初先発のFW京川舞(18=INAC神戸)は得点に絡めず途中交代。明暗を分けた。日本は5日の1次リーグ最終戦で米国と対戦する。

 なでしこジャパンにまた一人、ニューヒロインが誕生した。ノルウェー戦の逆転勝利から中1日。佐々木監督はチームの底上げを目的にフレッシュなメンバーを起用。菅沢もその一人だ。10年5月22日の女子アジア杯タイ戦以来、実に650日ぶりの国際Aマッチで大仕事をやってのけた。

 後半7分、DF近賀が右サイドから入れた速いグラウンダーのクロスに反応。相手DFを振り切りながらゴール前に走り込むと、滑り込みながら右足でゴールネットを揺らした。代表初ゴールはチームを2連勝に導く値千金の決勝弾だった。

 「(得点は)ニアサイドを狙っていこうと思っていた。近賀さんからいいボールがきた。速くて低いクロスがくることは分かっていた。当てるだけだった。気持ち良かったです。代表初だし、うれしい」と菅沢は笑顔を見せた。

 期する思いは強かった。初招集は09年12月。10年2月の東アジア選手権で優勝を経験したが、10年5月の女子アジア杯を最後に代表とは無縁の生活を送っていた。日本中が歓喜した昨年のW杯ドイツ大会は自宅でテレビ観戦。元チームメートの快挙に大声を上げて喜んだが、次の瞬間に悔しさが込み上げた。

 新潟では、体育館の管理やプールの監視員のバイトで生計を立てている苦労人だ。雪国のため、冬は練習も制限される。今冬も「タータン(陸上用のトラック)で走ったり、雪のない片隅でちょっと練習するぐらいしかできなかった」。それでも「W杯は、なでしこのみんなの気持ちが一つになっていた。ぜひそこに入りたいと思った」との一心で、ひた向きに練習に取り組んできた。

 昨季のなでしこリーグは5得点に終わったが、昨年末から調子は右肩上がりだった。全日本女子選手権では鳳凰高(鹿児島)との3回戦でハットトリックを達成。A代表予備軍のなでしこチャレンジとして招集された2月の和歌山合宿では、紅白戦で計3得点をマーク。猛アピールが実り、滑り込みで代表復帰を果たした。

 佐々木監督は突如として頭角を現したストライカーを「動きだしや裏に抜ける動きが非常に良かった」と大絶賛した。「ロンドンは見えているけど、手の届かないところにある」と話していた21歳。夢舞台への視界が一気に開けてきた。

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