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「将来、花咲く選手」敵将も絶賛!酒井意地のヘッド弾

[ 2011年12月15日 06:00 ]

<柏・サントス>体全体でネイマール(右)を止める酒井

クラブW杯準決勝 柏1―3サントス

(12月14日 豊田スタジアム)
 酒井が意地の一発を叩き込んだ。開催国王者の柏は準決勝で南米王者のサントス(ブラジル)と対戦。ブラジル代表FWネイマール(19)に先制点を奪われるなど1―3で敗れ、日本勢初の決勝進出はならなかった。しかし、U―22日本代表DF酒井宏樹(21)が執念のゴールで1点を返すなどスター軍団を相手に健闘した。J1昇格1年目で頂点を極めた柏の世界戴冠の夢は断たれたが、18日の3位決定戦では欧州王者・バルセロナ(スペイン)とアジア王者・アルサド(カタール)の敗者と対戦する。

 J2から世界一への野望はかなわなかったが、ロンドンへの視界は大きく広がった。試合後のミックスゾーン。下を向く選手が多い中で、酒井は胸を張っていた。「(ネイマールに)得点は決められたけど、(自分のところで)決定的なことはさせなかった。五分に持って行けたところもあった。幸せな気分でサッカーができた」

 世界にアピールする一撃を叩き込んだのは後半9分だった。MFジョルジ・ワグネルの左CKにドンピシャのタイミングで頭を合わせ、ゴール右上に突き刺した。その瞬間、右腕を折り曲げて仲間とハイタッチ。「ゴールが取れてよかった」。後半はMFレアンドロ・ドミンゲスのマークで空いたスペースに走り込んで“高速クロス”を連発、劣勢だったチームの中でひときわ輝きを放っていた。

 緊張の準決勝。世界が注目するFWネイマールとのマッチアップに一歩も譲らなかった。序盤からモヒカンの19歳に柏の選手が1人、2人と体を寄せる。想像以上のスピードに酒井も左右に揺さぶられた。しかし、相手の腕をつかみ、遅れまいともがいた。前半8分には中に切り込まれ、体をぶつけて懸命のディフェンス。「ファウルしてでも止めないといけなかった」。ネイマールが酒井のいる左サイドで仕掛けることを避け、中央に追い込まれる場面が徐々に多くなった。敵将のサントス・ラマーリョ監督も「実際、1年目と聞いている。いろんなことを学び、吸収していけば、将来、花咲く選手になる」と評した。

 今季はJ1デビューし、U―22の日本代表に定着した飛躍の1年だった。代表の合宿など過密スケジュールで疲労は蓄積するばかり。それでも、チームが軽めの調整をするなかでも、1人だけ約3キロの走り込みを行うなど、自主的に取り組む姿があった。

 8日の開幕戦オークランド戦で左膝を負傷。「テーピングは足がつるから」と、この日も痛み止めを服用しピッチに立った。「左膝は痛かったけど、試合に出たら関係ない」。90分間、ピッチを疾走し世界に存在をアピール。体中に疲労はたまっていても、ロンドン五輪での活躍が期待される21歳には充実感に満たされていた。

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2011年12月15日のニュース