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ユーベ首位奪還 コンテ新監督新スタジアムで手腕発揮

[ 2011年11月22日 06:00 ]

<ユベントス・パレルモ>ゴールを決め、祝福されるマルキジオ(左から2人目)

セリエA ユベントス3―0パレルモ

(11月20日)
 ユベントスは20日、ホームでパレルモに3―0で快勝し、首位に返り咲いた。過去2季はいずれも7位に低迷したが、今季から就任したアントニオ・コンテ監督(42)の下で好調を維持。攻撃的なサッカーで開幕から10戦不敗と進撃が続く。新ホームのユベントス・スタジアムも完成し、イタリア屈指の名門が再建への道を歩み始めた。

 激しい攻防の一戦も、終わってみれば快勝だった。前線からの激しいプレスと軽快なパス回しで前半20分に先手を取るなど優位に立つと、守護神ブッフォンが再三の好セーブで無失点。後半3分にマトリ、同20分にマルキジオがゴールを重ね、消化が1試合少ないユベントスが首位に立った。

 「シーズンの目標について考えるのは前半戦で全ての相手と戦い抜いてから」とコンテ監督は慎重に言葉を選んだが、勢いは本物だ。既に昨季王者ACミランやインテル・ミラノを撃破。その陰にいるのが指揮官だ。

 かつて主将としてユベントスを5度のリーグ優勝に導くなど黄金時代を支えた。審判操作など06年の不正関与による処分から低迷が続く古巣再建を今季から託され、着手したのが意識改革だ。現役時代と変わらない熱血漢は「昨季7位ということを忘れては駄目。泥水を飲まないと」とイレブンにプライドを捨てたゼロからの出発を強いた。

 戦術は4―2―4をオプションに持つなど攻撃志向が強いが、組織守備も徹底。デルピエロや人気者クラシッチでも不調なら先発を外しチーム最優先の起用を貫く。ピルロはそんな指揮官を「組織を重んじ、勝利への強い執念を見せる。リッピを思い出す」と06年W杯でイタリアを優勝させた名将になぞらえる。

 6日のナポリ戦が洪水で延期され代表戦による中断期間も重なりこの日のパレルモ戦は22日ぶりの試合。調整への懸念もあったが試合前に指揮官が「W杯決勝と思え」とゲキを飛ばした。先制点のペペは「監督が緊張感を保たせてくれる。間隔が空いても問題ない」と信頼を寄せる。

 この日は今季から使用する「ユベントス・スタジアム」が舞台。以前の「デッレ・アルピ」や間借りしていた「オリンピコ」は陸上トラックがあったが、1億2000万ユーロ(約124億円)が投じられた新ホームは客席とピッチ間が7.5メートルしかなく、ファンの後押しが直接選手に伝わる。コンテ監督は「きょうもファンが“12人目の選手”になってくれた」と感謝した。新しいホームを舞台に新しい指導者に導かれ、最多優勝27回の名門が新時代への扉を開く。

 ◆アントニオ・コンテ 1969年7月31日、イタリア・レッチェ生まれの42歳。85年にレッチェでデビューし91年にユベントス移籍。04年の引退までMFとして活躍しイタリア代表で94年W杯と00年欧州選手権に出場。監督としては09年にバリ、11年にシエナをセリエAに昇格させた。

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2011年11月22日のニュース