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鮫島 デビュー戦アシスト!五輪へ仏修行開始

[ 2011年10月4日 06:00 ]

<モンペリエ・ジュビシー>後半、競り合うモンペリエの鮫島

 フランス女子1部のモンペリエに移籍した、なでしこジャパンのDF鮫島彩(24)が2日のアウェー・ジュビジー戦でデビューし、いきなりアシストをマークした。同僚のMF宇津木瑠美(22)とともに挑むフランス女子1部とはどんなリーグなのか。歴史、環境、待遇、女子W杯の影響など欧州最高峰リーグの実情に迫る。

 鮫島が欧州で通用することを証明した。モンペリエでのデビュー戦で首位ジュビジーを相手にアシストをマーク。1―2で敗れたが「そういう(アシスト)積み重ねが結果につながるので、ああいう場面をどんどん出していけたらと思う」と手応えを口にした。

 なでしこジャパンの不動の左サイドバックが新天地に選んだフランスリーグは、リヨンが昨季女子欧州CLで初優勝するなど欧州最高峰のレベルを誇る。ただし待遇面では男子のリーグに大きく劣る。基本的にアマチュアで、12チームのうちプロチームと言えるのはリヨンだけ。他はプロとアマが混在している。

 外国人とはプロ契約が義務づけられており、日本と米国ではアマ選手だった鮫島も初めてプロとして2年契約を結んだ。プロ選手の最低月給は1300ユーロ(約13万3400円)。フランス代表MFアビリー(リヨン)らトップ選手の月給は1万ユーロ(約103万円)に迫ると言うが、同じ代表組でもアマチュアのFWティネイ(ジュビジー)は体育教師、DFメイユルー(モンペリエ)は市職員として働きながらプレーを続けている。

 ただ今後環境が改善される可能性もある。実は日本同様フランスでも女子サッカーブームが起きているのだ。7月の女子W杯でフランスが過去最高の4位となったことで注目度が急上昇。10月から史上初めて全国放送のフランステレビジョンとスポーツ専門局ユーロスポーツで各節注目カードの放送がスタートした。

 フランス協会で女子サッカー促進部責任者を務める元選手のエリザベート・トゥルノンさんは「世界王者の日本には及ばないかもしれないけど、フランスもこれから新プロジェクトで飛躍を目指すわ」と意気軒高だ。

 モンペリエは、5連覇中のリヨン、名門ジュビジー、昨季2位のパリSGと並びリーグ4強と言われる。上位2位に入れば来季の女子欧州CL出場権を獲得し、さらにレベルの高い舞台でプレーすることもできる。「ロンドン五輪に向けて、やらなければいけないことはたくさんある」という鮫島が、上昇機運に乗るリーグで飛躍を目指す。

 ◆鮫島 彩(さめしま・あや)1987年(昭62)6月16日、栃木県出身の24歳。常盤木学園高から06年東京電力入り。福島第1原発事故によるチーム活動休止を受け、今年6月から米女子プロリーグ(WPS)のボストンに移籍。9月からモンペリエと2年契約を結んだ。08年になでしこジャパンに初選出され、北京五輪はバックアップメンバー。国際Aマッチ通算38試合2得点。利き足は右。1メートル63、55キロ。

 ▽フランス女子リーグ リーグ戦は12チームによるホーム&アウェーで行われる。勝ち点の内訳は男子の主要リーグと異なり、勝利=4、引き分け=2。試合に敗れても1を得られる。勝ち点で並んだ場合は得失点差、総得点で順位を決定。上位2チームは来季の欧州CL出場権を獲得する。

 ▽モンペリエ フランス南部のモンペリエにあるクラブチームで、女子チームは90年創設。男子チームにはFW広山望(現米国リッチモンド)が03~04年に在籍。主なタイトルはリーグ優勝2回(03~04年、04~05年)、女子UEFA杯(現女子欧州CL)準優勝(05~06年)。昨季はリーグ4位。主な本拠地は「ジョセフ・ブラン」(1000人収容)で、重要な試合では男子の「ラ・モッソン」(3万2950人収容)も使用する。

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