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「マツさんも見てくれている」PK戦前、ビンタで気合注入

[ 2011年8月29日 14:24 ]

最後にPKを決めた小松をもみくちゃにし、大喜びの松本山雅イレブン

 長野県サッカー選手権兼天皇杯県予選の決勝が28日、松本市のアルウィンで行われ、松本山雅がPK戦の末に長野パルセイロを下し、4年連続の天皇杯出場を決めた。試合は両チームとも決め手を欠き、90分を終えて0―0のまま延長戦に突入。延長後半2分にパルセイロが先制したが、終了間際の同ロスタイムにFW片山真人(27)のゴールで山雅が同点に追いついた。PK戦も9人目までもつれ込んだが、最後はMF小松憲太(23)が落ち着いて蹴り込み、激闘に決着をつけた。

 勝利への強い気持ちが奇跡を呼び込んだ。

 山雅が0―1と1点ビハインドで迎えた延長後半ロスタイム。ラストワンプレーだった。パルセイロDF大島がヘディングでGK加藤へバックパス。ところが連係が合わず、加藤がはじいたところを、詰めていた片山が右足で無人のゴールへ流し込んだ。山雅・加藤監督が「神懸かり的」と評するほどの起死回生の同点弾で、決着はPK戦へと持ち込まれた。

 そのPK戦も両者譲らずに9人目に突入。先攻のパルセイロMF浦島がバーに当てて失敗したのに対し、山雅は小松がきっちりと決め、死闘に終止符をつけた。左腓(ひ)骨筋腱脱臼で4月に手術を受けた小松は、これが今季初の公式戦。「正直、自分まで(PKが)回ってきてほしくなかった」と弱気だったが、FW木島良からビンタで気合を注入され、さらに片山から「マツ(故松田直樹)さんも見てくれているから大丈夫だ」と声を掛けられたことで落ち着きを取り戻し、冷静に左隅に蹴り込んだ。

 MVPに選ばれた片山はヒーローインタビューで「勝ったぞおー」とスタンドに向かって絶叫。「マツさんが取らせてくれた1点。誰ひとり諦めないみんなの気持ちで、あそこにボールがこぼれてきた」。松田さんがチームに残した最後まで戦い抜く精神がもたらしたゴールでもあった。

 休む間もなく、中2日で31日にはJFLのFC琉球戦が控える。MF須藤主将は「きょうのように、戦う姿勢を出していきたいです」と気合十分。松田さんの悲願でもあったJ2昇格へ向け、どこまでもひた向きに戦い続けるしかない。

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2011年8月29日のニュース