女王沢！！菅首相も魅了　ノーゴールもチャンス量産

＜なでしこジャパン・なでしこリーグ選抜＞前半、シュートを放つ沢

慈善試合 なでしこジャパン３―２なでしこリーグ選抜

（8月19日 国立）
　試合終了後のセレモニーで、沢がマイクの前に立つと盛大な拍手がわき起こった。「今、元気のない日本を（元気にするよう）皆さんと一緒に頑張っていきたい」。震災からの復興を願って、あいさつすると、スタンドは「沢！沢！」の大合唱となった。

　ピッチでも、なでしこジャパンの中心には沢がいた。前半２分に右足でチーム初のシュートを放つと、同４３分には宮間からの左クロスに得意のヘディングで合わせた。右ポストをかすめて惜しくもゴールにはならなかったが、Ｗ杯ＭＶＰのプレーにスタンドは沸きに沸いた。観戦に訪れた菅直人首相にも国民栄誉賞のお礼とばかりに、後半１８分に交代するまで全力プレーを披露した。

　Ｗ杯優勝で、沢を取り巻く環境は一変した。「忙しすぎてあっという間の１カ月だった」。練習にはファンが詰めかけ、取材も殺到。安全上の問題から自宅マンションの引っ越しを余儀なくされ、心休まる時はなかった。疲労から体重も一時落ちたが、プレーの質は落とすことはなく凱旋試合の主役として君臨した。

　９月１日からは、いよいよロンドン五輪アジア最終予選が始まる。沢は「アジア予選は５試合もあるので連戦が続くし、全員がピッチに出られたのは良かった。全員がいないと勝てない」とＷ杯と同様にチーム一丸となって出場権獲得を目指すことを強調した。もちろん、世界一に輝いても、五輪予選で敗退すれば全てが台なしになることも分かっている。「世界王者といってもアジア予選は別。チャレンジャーとして戦いたい」。喜びをかみ締めるのはこの試合で終わり。プライドをかなぐり捨てて、沢が再び金メダルを狙いにいく。