×

止めた!止めた!海堀「サンキュー」MVP

[ 2011年7月19日 06:00 ]

<日本・米国>PK戦の末、優勝を決め、沢(右)と抱き合う海堀

女子W杯決勝  日本2―2米国(PK3―1)

(7月17日 フランクフルト)
 決勝戦の「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に輝いたのはPK戦勝利の立役者、GK海堀だった。試合後の会見で同席した佐々木監督から「おめでとうございます。海堀サマサマ!」とお褒めの言葉とともに同賞の記念額を受け取ると、なぜか英語で「サンキュー」と満面の笑みを浮かべた。

 「PKは自分と仲間を信じて跳ぶだけだと思っていました。自信はありました」

 男子顔負けのアクロバチックなセーブで一気に流れを引き寄せた。先攻・米国の1本目。「自分の信じた方に跳ぼうと思っていた」と“本能”で左を選択して見事当たったが、少し思い切りが良すぎた。「行き過ぎちゃったので足に当たれと。気持ちだけでした」と空中で必死に右足を伸ばして蹴り出した。2本目は相手がクロスバーの上に外し、3本目は右へ跳んで両手ではじき出すと、ガッツポーズで歓喜の雄叫びを上げた。

 小2から京都の地元少年団でサッカーを始め、もともとはFWなどフィールドプレーヤー。本格的にGKに転向したのは18歳の時だった。進学した乙訓高にはサッカー部がなくテニス部に所属。クラブチームでサッカーをしながら“二足のわらじ”のテニスで磨いたフットワークが、ここぞのPK戦で生きた。

 「諦めなければ夢はかなう」。08年北京五輪では正GK福元の控えだった。1メートル70で抜群の身体能力を誇っていたが、所属するINACの星川監督は、失点やミスに落ち込むなど「メンタルが安定しない子だった」と振り返る。転機は今年元日の全日本女子選手権決勝。PK戦で5本中3本を止めてGK山郷との“なでしこ対決”を制して大きな自信をつけた。昨年から志願の自主トレや、肩甲骨周りの柔軟性を増すストレッチなど地道な練習に取り組んできた成果が花開いた。

 「勝てたのは、いつも支えてくれた山郷さんとフクちゃん(福元)がいたから。自分一人の力じゃない。いつも3人で戦ってきた」。連日、一緒にビデオを見て研究したり、練習でアドバイスをもらうなど縁の下の力持ちになってくれた控えの先輩2人に感謝した。「自分はまだまだ。もっと成長したい」。発展途上の24歳守護神は、来年のロンドン五輪に向けてさらなる飛躍を誓った。

 ◆海堀 あゆみ(かいほり・あゆみ)1986年(昭61)9月4日、京都府生まれの24歳。小2から長岡第四小スポーツ少年団でサッカーをはじめ、ラガッツァ高槻、スペランツァ高槻を経て08年からINACでプレー。代表デビューは08年で、同年北京五輪に選ばれたが出場機会はなし。国際Aマッチ出場23試合。1メートル70、64キロ。

続きを表示

2011年7月19日のニュース