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最後に隙…鹿島 本拠“復興初戦”拍手とブーイング交錯

[ 2011年6月16日 06:00 ]

<鹿島・甲府>101日ぶりの本拠公式戦に駆け付けたサポーター

J1第15節 鹿島0―1甲府

(6月15日 カシマ)
 カシマにJリーグが戻ってきた。鹿島は15日、カシマスタジアムに7810人の観衆を集めて甲府と対戦し、0―1で敗れた。東日本大震災で被害を受けたカシマスタジアムでの公式戦は3月6日の大宮戦以来、実に101日ぶり。応急工事の施された本拠地でサポーターの後押しを受けて主導権を握ったが、決定力を欠き、終了間際に失点した。今季ホーム初勝利は逃したが、復興を象徴する意義のある一戦となった。
【試合結果 順位表】

 鹿島サポーターの声援が、悲鳴に変わった。3分と表示された後半ロスタイムも2分を経過。スローインから一瞬の隙を突かれて、甲府FWハーフナー・マイクにゴールを許した。東日本大震災で被害を受けたカシマスタジアムでの試合は3月6日の大宮戦以来、101日ぶり。シャルケの内田も古巣の試合に駆けつけていた。仕切り直しの一戦に敗れ、岩政は「ここで勝つのが僕たちの仕事なのに…」と唇をかんだ。

 ホームの利を生かせなかった。スタジアムは応急工事が施され、照明がスタンドの四隅部分に移設されたため、空中戦の際にボールが見えにくくなるマイナス面があった。鹿島は7、13日にスタジアムで非公開の夜間練習を実施。プレーの感覚を入念に確認して試合を迎えたが、勝利には結びつかなかった。

 偉大な先輩の“手本”も生かせなかった。鹿島は4日に慈善イベントを開催し、クラブ歴代OBが元スターJリーガーと対戦。ジーコ氏、アルシンド氏らを擁するチームはラモス氏、名波氏らを相手にボールを支配されながら、堅守と決定力の高さを見せて3―0で大勝。小笠原は「チャリティーマッチでも勝つ戦いをするのがアントラーズ」と分析していたが、この日は主導権を握りながら決定力を欠き、終了間際に失点。今季リーグ8試合中6試合で先制を許すなど、試合巧者らしくない戦いが続く。

 昨年12月25日の天皇杯準々決勝名古屋戦以来の本拠地での勝利はお預けとなり、2勝2分け4敗と黒星が先行。それでも、カシマにJリーグが戻ってきたことは大きな意味を持つ。スタンドには「この場所からまた始めよう。新たなる歴史を!」の横断幕も掲げられた。試合後、スタジアムに交錯したサポーターの拍手とブーイングが、復興を印象づけた。

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2011年6月16日のニュース